9月の新刊:涙の通り路《フィクションの楽しみ》

2015年 10月 2日 コメントは受け付けていません。

涙 書影
涙の通り路
アブドゥラマン・アリ・ワベリ(著)
林俊(訳)

判型:四六判上製
頁数:248頁
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0106-0 C 0036 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
1977年6月26日、ジブチ共和国の独立の日に、産声をあげた双子の兄弟がいた。高校卒業を機にジブチを離れ、パリへ 進学、のちモントリオールで博士号を取得した兄、ジブリルは、デンヴァーの情報産業のエージェントとして十数年ぶりに帰国する。一方、大学進学に挫折 した弟のジャマルは、その後イスラム過激派組織を渡り歩き、重犯罪人としてジブチにある〈悪魔の島〉に収監される。ジブリルは調査レポートを、ジャマルは 原理主義の教義を書き起こすうちに、ヴァルター・ベンヤミンの生涯が二人に影響を及ぼしはじめて……西欧列強の帝国主義的支配が残したものに翻弄される〈アフリカの角〉を 舞台に、ランボーの沈黙から生まれた作家が、現代アフリカの政治と思想を鋭く描く!

著者/訳者紹介:
アブドゥラマン・アリ・ワベリ(Abdourahman A. Waberi)  1965年、ジブチ(当時はフランス領ソマリ海岸)の首都ジブチに生まれる。1985年、フランス政府の給費留学生として内地に赴き、カーンおよびディジョンで学ぶ。しばらく教職に就く。1994年、処女作『影のない国』(ベルギー王立アカデミー・フランス語圏文学大賞およびパリのアルベール・ベルナール賞受賞)、1996年、『遊牧民手帳』(アフリカ文学大賞受賞)発表の頃から作家生活に入る。フランス語圏のポストコロニアル文学の旗手のひとり。ル・クレジオはノーベル文学賞受諾スピーチをワベリに献呈した。『バルバラ』(1997)、『トランジット』(2003)、『アフリカ合衆国』(2006)など多数の著書は、すでに英語、ドイツ語等に翻訳され、高い評価を受けている。

林俊(はやしたかし)  1950年、広島県三原市に生まれる。通訳、翻訳業。日本文芸家協会会員。著書に、『アンドレ・マルロオの「日本」』(中央公論社、1993)、『小松清 ヒューマニストの肖像』(共著、白亜書房、1999)、編著に、『藤尾龍四郎作品集』(ギャラリー毛利、1995)、訳書に、イエルーン・ブラウワーズ『うわずみの赤』(水声社、2001)、アブドゥラマン・アリ・ワベリ『バルバラ』(水声社、2014)などがある。

Comments are closed.