6月の新刊:いつかはみんな野生にもどる――環境の現象学《エコクリティシズム・コレクション》

2016年 6月 22日 コメントは受け付けていません。

野生に戻るいつかはみんな野生にもどる
環境の現象学
《エコクリティシズム・コレクション》
河野哲也(著)

判型:四六上製
頁数:277頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0188-6 C0090
装幀:滝澤和子
好評発売中!


「私たちは、ある場所の中で、ある時間の流れの中で、身体の働きの一部として考える」(本文より)
 7月8日朝日新聞朝刊「折々のことば」にて取り上げられました!

内容紹介
メキシコのチェチェン・イツァ,パタゴニア,モニュメント・バレー,ヨセミテ渓谷,コルシカ島,そしてフクシマを訪れ著者がその地,そこでの時間のなかで経験し,そのうえでエマーソン,ソロー,ミューア,和辻哲郎,串田孫一,林京子らの作品を読み解き自然と文明のあり方を哲学する。

目次
第1章 マヤ文明,チェチェン・イツァの球技
チェチェン・イツァ テオティワカン 球技と生贄
第2章 旅の現象学——アリゾナの「山の身になって考える」
自然の無意味 旅と遊び ウィルダネスへの訪問——「山の身にな
って考える」 生態系と狩猟,市民的不服従 いつでも無となること
第3章 パタゴニア,極大と極小の自然
ホーン岬での環境保護プログラム ダーウィンの足跡をたどって
生物多様性 最後のヤガン人と大統領 生物文化多様性
第4章 水の哲学——ヨセミテからテキサスへ
ひとつの小さき自然——パタゴニア,カナディアン・ロッキー,モニュメント・バレー 水と海の経験——ソローとカーソン
ジョン・ミューアの思想とヨセミテの氷河 ヘッチヘッチー論争——保
護と保全 何を保護するのか―—保存と保全,ディープ・エコロジ
ーとシャロー・エコロジー テキサスでのシェールガス・フラッキ
ング反対運動
第5章 コルシカ島の風土学
コルシカ島でのシンポジウム 環境哲学における東洋思想の影響
和辻哲郎の風土学 『風土』と花鳥風月の植民地主義 ベルクのト
ラジェクションの概念 ウィルダネス,再び 岩への敬意
第6章 放射能の現象学
フクシマの事故 放射能の知覚 林京子の被曝の経験 井上光晴の
原子力発電所小説 生命の無意味な豊かさ

あとがき

著者について
河野哲也(こうのてつや)1963年,東京に生まれる。博士(哲学)。現在,
立教大学文学部教育学科教授。専攻は哲学・倫理学,教育哲学,哲学プラクティス。主な著書に『エコロジカルな心の哲学——ギブソンの実在論より』 (勁草書房,2003),『環境に拡がる心——生態学的哲学の展開』(勁草書房,2005),『エコロジカル・セルフ―—身体とアフォーダンス』(ナカニシヤ書店,2011),『意識は実在しない―—心・知覚・自由』(講談社選書メチエ,2011),『境界の現象学——始原の海から流体の存在論へ』(筑摩選書,2014)などがある。

関連書
失われるのは,ぼくらのほうだ/野田研一/4000円+税
〈故郷〉のトポロジー/喜納育江/2500円+税
ピンチョンの動物園/波戸岡景太/2800円+税
動物とは「誰」か?/波戸岡景太/2200円+税
他火のほうへ/結城正美/2800円+税
水の音の記憶/結城正美/3000円+税

Comments are closed.