5月の新刊:印象・私・世界ーー『失われた時を求めて』の原母体

2017年 5月 11日 コメントは受け付けていません。

印象・私・世界印象・私・世界
『失われた時を求めて』の原母体
武藤剛史(著)

判型:四六判上製
頁数:269頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0258-6 C0098
装幀:宗利淳一
好評発売中!

プルースト文学の真髄
無意志的記憶は、『失われた時を求めて』に主たる「原材料」を提供しているばかりか、この巨大な作品を支える「全芸術論」を、さらには作品の構造をも、厳密に規定している。無意志的記憶こそ、『失われた時を求めて』の原母体なのだ。——本文より

目次
序 プルーストをどう読むか  

第一章 プルーストの視点に立つ
 Ⅰ ギュスターヴ・モロー論
 Ⅱ ラスキン論(1) 偶像崇拝
 Ⅲ ラスキン論(2) 「読書の日々」
 Ⅳ サント゠ブーヴ論(1) サント゠ブーヴの方法
 Ⅴ サント゠ブーヴ論(2) 十九世紀芸術家たちの運命
 Ⅵ サント゠ブーヴ論(3) 「私のなかで遊んでいるひとりの少年」

第二章 印象――無意志的記憶、謎めいた印象  
 Ⅰ 無意志的記憶と芸術  
 Ⅱ 印象の根源に立ち返る  
 Ⅲ 印象と自己  
 Ⅳ ふたつの自己  
 Ⅴ 内部の書物  

第三章 物語――恋愛・スノビズム
 Ⅰ ふたつの自己の関係  
 Ⅱ 就寝のドラマ  
 Ⅲ 「ふたつの方」  
 Ⅳ 名の時代  
 Ⅴ 恋愛  
 Ⅵ 社交界とスノビズム  
 Ⅶ 幻滅  

第四章 小説の構造――無名の「私」  
 Ⅰ 一人称の語り  
 Ⅱ 内部の世界  
 Ⅲ 〈私〉とは何か  
 Ⅳ 原初の自己  

あとがき

著者について
武藤剛史(むとうたけし)
1948年、埼玉に生まれる。京都大学大学院博士課程中退。現在、共立女子大学文芸学部教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『プルースト 瞬間と永遠』(洋泉社、1994年)、主な訳書に、ジャン・V・オカール『比類なきモーツァルト』(1991年)、アニー・パラディ『モーツァルト 魔法のオペラ』(2005年)、ミシェル・フイエ『キリスト教シンボル事典』(2006年)、マリナ・フェレッティ『印象派(新版)』(2008年)、パトリック・ドゥムイ『大聖堂』(2010年)、エリック・シブリン『「無伴奏チェロ組曲」を求めて』(2011年)、ミシェル・アンリ『キリストの言葉』(2012年、共に白水社)、ピエール・ラビ『良心的抵抗への呼びかけ』(四明書院、2015年)、ミシェル・ロクベール『異端カタリ派の歴史』(講談社、2016年)、アンドレ・ドーテル『夜明けの汽車 その他の物語』(舷燈社、2017年)などがある。

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