12月の新刊:ないものがある世界 パルティータⅤ

2017年 12月 20日 コメントは受け付けていません。

ないものがある世界ないものがある世界
パルティータⅤ
今福龍太(著)

判型:四六判上製
頁数:243頁
定価:2200円+税
ISBN:978-4-8010-0255-5 C0093
装幀:西山孝司
12月下旬発売!


著者の人類学的想像力が、しなやかに飛翔する!
過去を甦らせ、未来を呼び込む、心豊かな辺境から生まれた小さな「世界文学」。

「喪失」の陰に覆われた近未来の都会で、「進歩」し続けることに疑いを抱かない世界に憂う〈わたし〉。人間の原初的なことばや身振りが生き生きと現前する精霊の島から、いのちの根源をたどり直す少年〈ノア〉。「ない」ことと「ある」ことのはざまで、二人の異なった時空間の物語がパラレルに展開しつつも、いつしか一つの大きな物語として重なり合い、昇華していく──。批評と創作の境界線上で生まれた、父と母と子供たちのための、少し哀しく、希望あふれる未来の寓話。

目次
1(青の恩寵(おんちょう))
 2(からだは無数のタネで創(つく)られている……)
3(砂時計の教え)
 4(ワタツミの神が浜へと鯨を送りこむ……)
5(書物と瓦礫(がれき))
 6(祖霊(それい)の森が暗い声で歌いだした……)
7(書くことの消息)
 8(虹色に輝くハチドリの護符(ごふ)を……)
9(ワルツ・フォー・デビイ)
 10(暈開(ユンカイ)の世界の縁にようこそ……)
11(薪を投げるお化け)
 12(回転草のあとを追って白い砂漠を……)
13(失われたアイピン)
 14(橄欖石(かんらんせき)の傍らの泉でアトルは生まれた……)
15(悲しい目をした預言者)
 16(水が妖精のように石筍(せきじゅん)の上にひらりと……)
17(朽ち果てた港)
 18(ビャクシンの根元から妣(はは)の声が……)
19(喪失の螺旋(らせん)階段)
 20(世界に隠されながら確かに息をしているもの……)
21(記憶の鱗粉(りんぷん))
 22(雨はただ流れるだけの涙だった……)

あとがき

著者について
今福龍太(いまふくりゅうた)
1955年、東京に生まれ、湘南で育つ。1980年代初頭よりメキシコ、キューバ、ブラジル、アメリカ南西部に滞在し調査研究に従事。サンパウロ大学、サンパウロ・カトリック大学などで客員教授を歴任。東京外国語大学大学院教授。2002年より奄美群島において巡礼型の野外学舎「奄美自由大学」を主宰。主な著書に、『荒野のロマネスク』(筑摩書房、1989/岩波現代文庫、2001)、『感覚の天使たちへ』(平凡社、1990)、『野性のテクノロジー』(岩波書店、1995)、『ここではない場所』(岩波書店、2001)、『ミニマ・グラシア』(岩波書店、2008)、『ブラジルのホモ・ルーデンス』(月曜社、2008)、『身体としての書物』(東京外国語大学出版会、2009)、『レヴィ=ストロース 夜と音楽』(みすず書房、2011)、『薄墨色の文法』(岩波書店、2011)、『書物変身譚』(新潮社、2014)、『ジェロニモたちの方舟』(岩波書店、2015)、『わたしたちは難破者である』『わたしたちは砂粒に還る』(いずれも河出書房新社、2015)、『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(みすず書房、2016。読売文学賞受賞)、『ハーフ・ブリード』(河出書房新社、2017)、『クレオール主義(パルティータⅠ)』『群島-世界論(パルティータⅡ)』『隠すことの叡智(パルティータⅢ)』『ボーダー・クロニクルズ(パルティータⅣ)』(いずれも水声社、2017)など。主な編著書に、レヴィ=ストロース『サンパウロへのサウダージ』(編訳、みすず書房、二〇〇八年)、多木浩二『映像の歴史哲学』(編、みすず書房、二〇一三年)など。

今福龍太コレクション《パルティータ》全五巻 完結!
クレオール主義 パルティータⅠ/4000円+税
群島-世界論 パルティータⅡ/4500円+税
隠すことの叡智 パルティータⅢ/3800円+税
ボーダー・クロニクルズ パルティータⅣ/2500円+税
ないものがある世界 パルティータⅤ/2200円+税

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