書店イベントのご案内

2010年 12月 3日

年末も年末ですが、12月26日(日)のお昼に、
都内吉祥寺でイベントが開催されます。
ガイブンに関心のあるかたもないかたも、
ふるって足をお運びください!

—–

読んでいいとも!ガイブンの輪 歳末特別編 at 百年2010
豊崎由美×個性派ガイブン出版社

小さな巨人と呼んでくれ!(群像社・水声社・未知谷)


「読んでいいとも!ガイブンの輪」(通称「よんとも」)は
書評家の 豊崎由美さん が「笑っていいとも」の
「テレフォンショッキング」方式でゲストをお招きし、
素敵な本屋さんを転々として海外文学について語り合う
流浪の番組、ではなくトークショーです。

これまで、野崎歓さん→川上弘美さん→岸本佐知子さん→榎本俊二さん→
本谷有希子さん→〔特別編・柴田元幸さん+若島正さん〕→宮沢章夫さん→
前田司郎さん→〔大森望さん+岸本佐知子さん〕→石川直樹さん→
鴻巣友季子さん、と海外文学好きのお友達を紹介していただきました。

今回は歳末特別編として、個性的な出版活動を続けている
ガイブン出版社の編集者をお招きいたします!!

海外旅行も洋画も各国料理も好きなのに、
海外文学(ガイブン)はなかなか著者名が覚えられないし、
登場する人物名も土地名もなじみがないから
ついつい敬遠してしまうというアナタ!

読んでみたいと思ってはいるけれど、
次々出る新刊を前にどれを選んだらいいか
途方にくれてしまうというアナタ!

あるいは、海外小説について
さらにディープに知りたいというアナタ!

とびきりのガイブン“目利キスト”である豊崎さんとゲストが、
「これはおもしろい!」「いまが旬!」「読んで損しない!」
という新刊をおススメし、魅惑の翻訳小説ワールドへと
みなさんをご案内いたします。

◎ 12月26日(日) 12:00〜13:30 (開場11:30)
◎ チケット 500円
◎ 予約開始日 12月4日(土)11:00 より受付
ご予約は百年まで! 店頭・電話・メールにて

OLD/NEW SELECT BOOKSHOP  百年
180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10村田ビル2F
tel/fax 0422-27-6885

http://www.100hyakunen.com

mail@100hyakunen.com

《プロフィール》

◎ 豊崎由美(とよざき・ゆみ)
ライター、書評家。「GINZA」「本の雑誌」「TVBros.」「文藝」などで
書評を多数連載。主な著書に『そんなに読んで、どうするの?』(アスペクト)、
『正直書評。』(学習研究社)『勝てる読書』(河出書房新社)などがある。
最新刊は岡野宏文氏との共著『読まずに小説書けますか』(メディアファクトリー)。

**
◎ 群像社(ぐんぞうしゃ)
1980年設立。季刊『ソヴェート文学』の発行元として76号から101号までを刊行。
「現代のロシア文学」シリーズで当時ほとんど紹介されることのなかった
現代ソ連文学を日本に紹介、その後「群像社ライブラリー」
「ロシア名作ライブラリー」を中心に新旧のロシア文学からロシア文化をめぐる
書籍へとジャンルをひろげ、刊行点数は今年で120点になる。

島田進矢(しまだ・しんや)
1988年、群像社に入社。ソ連を代表するSF作家ストルガツキイの
シリーズやブロツキイ『私人』などを手がけ、まだ無名だった
ペレーヴィンを日本で初めて紹介。前社長の死去により2010年からは
代表取締役となり、以後は一人で経営。
訳書にブシュネル『モスクワ・グラフィティ』(群像社)がある。

**
◎ 水声社(すいせいしゃ)
1981年、鈴木宏が「書肆風の薔薇」として創業。1986年に白馬書房と業務提携、
1991年に「水声社」と社名を変え、現在にいたる。《アンデスの風叢書》
《言語の政治叢書》《シュルレアリスムの25時》《小島信夫批評集成》などの
シリーズのほか、G・ペレックや荒川修作など、洋の東西を問わず、
奇想あふれる作家・作品を紹介しつづけている。

下平尾 直(しもひらお・なおし)
1968年、大阪生まれ。水声社チーフディレクター。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程満期退学。企画編集した書籍に
E・ブロッホ『ナチズム』、都甲幸治『偽アメリカ文学の誕生』、
黒木夏美『バナナの皮はなぜすべるのか?』など。

**
◎ 未知谷(みちたに)

1990年12月、飯島が創業。ほぼ1年一人出版社として活動、
2年目に営業と経理担当に一人参加、その後一人増え二人増えして
20人位入れ替わりましたか、現在は五人で20年目を迎えました。
総刊行点数426。文学・思想・芸術と判断できる範囲ですが、
後発の出版社として大手が手を出さない企画を中心に考えています。
いきおい中心よりは周縁といったことになります。
良くいえば次なる中心の提示とも、しかし実態は落ち穂拾いでしょう。

飯島徹(いいじま・てつ)
1950年、東京生まれ。都内某大学中退。以前はモラトリアムとか
言っていましたが、今で言えばフリーターとして30歳近く迄、
業界周辺をふらふらしていました。知己のあった清水康夫氏に拾われ青土社に勤務。
『現代思想』『ユリイカ』の編集を経て、書籍編集部に9年近く在籍。
企画が悉く却下されるようになり、40歳で独立、いまだきわまるをしらず、
これから極めましょうと、未知谷を創業。そんなわけで、
前職で知己を得た著者を一切引きずらず、天涯孤独な出発でした。

 

編集部通信/書評『ミノタウロスの誘惑』

2010年 12月 3日

8月下旬に刊行した『ミノタウロスの誘惑』は好評で、
実際に読んだ人からの反応も、「訳文がよく工夫されていて読みやすく、
イメージがふくらむ」といった声が多く寄せられています。

そして、少し報告が遅くなりましたが、二つの女性誌に好意的な書評が
本の写真つきで掲載されました。
『フィガロ・ジャポン』12月号では、

「自由を求め続けて生涯を過ごしたアナイス・ニンが、
旅と音楽と人生を重ね、半世紀前に著した情熱の書」


と取り上げられ、『Spur』12月号では、

「いち早く女性の性をテーマにした小説を書き、
多くの文学者とも浮名を流した著者の、1961年の作品が邦訳。
メキシコのリゾート地を訪れたジャズ・ピアニストのリリアンが、
南国の風に吹かれ、現地の人々と交流するうち、
他者とも自己ともより深く対話してゆく。決して古びていない、
言葉のきらめきが味わえる」


と紹介されました。また、『本の雑誌』12月号で、山崎まどかさんが、

「リリアンが音楽を奏でるシーンはほとんどないが、
その描写の全てが音楽的であり、その旋律に酔う」


と評しています。さらには、「日本ヘンリー・ミラー協会」の
ニューズレターにも佐竹由帆さんによる書評が掲載されていますので、
ここに一部紹介しておきます。

「……ニンの小説は読みやすいものではないと言われることが多いようだが、
本作の大野氏の訳はとても読みやすかった。比喩の多い
詩的な美しさを湛えたニンの文章を美しくかつ読みやすく訳すのは
労力のいる仕事だっただろうと推察するが、
訳文は苦労を感じさせない見事な仕上がりである。……」



minotauros_cover-e381aee382b3e38394e383bc●円熟味を増したニンの名篇——本邦初訳。

ミノタウロスの誘惑

アナイス・ニン/大野朝子訳
四六判上製240頁/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-800-3 C0097


南国のゆるやかな空気のなかで


太陽がまぶしいメキシコの華やかなリゾート地。
米国人ジャズ・ピアニストのリリアンは
現地のさまざまな人物たちとの出会いを通して
自分の本当の姿と向き合うようになる……
旅と音楽をモチーフに色鮮やかに描く珠玉の小説。


e4babae5b7a5e381aee586ac-e381aee382b3e38394e383bc●好評発売中!

人工の冬

アナイス・ニン/矢口裕子訳
四六判上製328頁 定価2800円+税


異端の愛こそ美しい——

アメリカで発禁となっていた先駆的な性愛小説三篇が
原形のまま70年ぶりに復活。

 

12月の新刊『私の作家遍歴I 小島信夫批評集成 第4巻』

2010年 12月 1日


『私の作家遍歴』がすごいのは、
「読む」と「書く」と「考える」が完全に一体化しているところだ。
誰でも経験しているはずだが、
小説にかぎらずすべての本は読み終わったあとよりも
読んでいる最中の方がおもしろい。
——保坂和志




ラフカディオ・ハーンが東洋の女性に見出した謎。
その謎は《日本という国》の謎へと展開し、
そして作家は世界文学の遍歴という迷宮に身を投じる……。
出色の長篇評論の開始を告げる『黄金の女達』、ついに復刊。


kojimanobuo_4_cover私の作家遍歴I 小島信夫批評集成 第4巻』

A5判上製422頁/定価6000円+税 
ISBN978-4-89176-814-0
C0395 121日頃発売!
解説=保坂和志
月報=鶴見俊輔、青木健、井上謙治、三浦清宏、坂内正、太田鈴子

1123日付『読売新聞』文化欄に本集成の詳細が掲載されました。
尾崎真理子さん、ありがとうございました。全文はこちら
(→


*全巻ご購読者特典として、
もれなく非売品の『小島信夫読本』をプレゼント。
くわしくは内容見本をご覧ください。

(締切=2010年12月末日)

*内容見本は全国の書店で配布中です。直接お申し込みいただくには、
小社営業部へお願いいたします。郵便切手80円分を同封のうえ、
112-0002 文京区小石川2-10-1-202 水声社営業部・内容見本係 まで。



 

12月の新刊『ロチの結婚』『ピエール・ロチ伝』

2010年 11月 30日

▼再評価の気運高まる「エキゾティズムの作家」の
代表作と決定版伝記を同時刊行!

lotikekkon_coverロチの結婚

ピエール・ロチ/黒川修司訳
四六判上製272頁/定価3000円+税
ISBN 978-4-89176-809-6 C0097 12月2日頃発売!


もう一度あの人に会いたい




1872年, フランス海軍士官としてタヒチを訪れ,
島の女王の寵遇を得たピエール・ロチは,
現地の美しい娘ララフと出会い,
楽園的で牧歌的な恋を織りなしていくが……
発表当時大当たりした, 異国趣味あふれる悲恋物語。




lotiden_coverピエール・ロチ伝

アラン・ケラ=ヴィレジェ/遠藤文彦 訳
A5判上製656頁+別丁図版32頁/定価8000円+税
ISBN 978-4-89176-810-2 C0098 12月2日頃発売!


ロチ研究の泰斗による決定版評伝。




19世紀後半から20世紀初頭にかけて
世界中を巡航しながら見聞を広げ、
日本滞在経験をもとにした『お菊さん』など
数多くの小説を残した、「異国趣味の作家」の
波瀾にみちた生涯がいま蘇る。


好評既刊

kentai_cover倦怠の華

ピエール・ロチ/遠藤文彦訳
四六判上製280頁 定価2800円+税

 

編集部通信/イベント御礼+書評『日本探偵小説論』

2010年 11月 18日

11月12日にジュンク堂新宿店でおこなわれた
栗原幸夫さんと野崎六助さんのトークセッション
《1920年代の反逆思想!》は、おかげさまで
盛況裡に終えることができました。

平日の夕方という忙しい時間帯にもかかわらず
足をお運びいただいたみなさま、
あるいは参加できなかったものの
心の奥底で声援を送ってくださったみなさま、
そしてジュンク堂ご担当のみなさまに、
厚く御礼申しあげます。ありがとうございました。

11_12しかし、
御年83歳になる
栗原幸夫さんの、
熱く、いつまでも
お若いお話しには、
聴いている方が心を奮わされるような時間でした……。

さて、その余韻もさめやらない翌々日の14日(日)、
東京新聞の朝刊読書面に、野崎さんの新刊、
『日本探偵小説論』が掲載されました。評者は文芸評論家の川村湊さん。
本書が《探偵小説》を狭義のジャンル(業界)の枠を超えた、
広く日本の《近代》と格闘したさまざまな文学作品のなかに、
位置づけ直したことを目一杯評価していただき、

「それにしても、日本の近代文学の本質を
〈昭和十年前後〉という時間のなかに凝縮してみせた
批評の力技は、ただ感嘆する以外にはないのである」


と、そのレヴューを締めくくっておられます。
本書への最上の言葉を、ありがとうございました。
全文はこちらから→(

野崎六助さんの『日本探偵小説論』、栗原幸夫さんの『わが先行者たち』は
いずれも全国書店で好評発売中です。ぜひご一読を!(編集部:Naovalis)

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senkosha001栗原幸夫

わが先行者たち——文学的肖像

四六判上製/466頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-803-4 C0095  好評発売中!


危機の瞬間にひらめく回想——。
自在な《精神の運動》による戦後文学/思想史の軌跡。



編集者として、批評家として、あるいは
べ平連やAA作家会議のアクティヴィストとして。
埴谷雄高、中野重治、堀田善衞ら《戦後》という時代を協働した、
こよなき《先行者たち》への批評/オマージュを集成する。
【附・著者による自筆略年譜】


——

nihontantei_cover野崎六助

日本探偵小説論

四六判上製/444頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-801-0 C0095  好評発売中!


真犯人、それは《近代日本》なのか !?




関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。

 

編集部通信/『また君に恋をした』の反響その1

2010年 11月 15日

10月下旬に発売していらい、アンドレ・ゴルツ『また君に恋をした』は
実によく動いています。池袋リブロはじめ幾つかの書店・大学生協では
発売後たちまち売り切れ、追加注文がきました。
そのうえ、活字が大きく短い作品なのですぐ読めてしまうのか、
読者からの感想が続々と寄せられています。(編集部So)

一番早かったのは、書評家の江南亜美子さんの反応です。
うんうん唸りながら一気読みしたそうで、まずツイッターでつぶやき、
その勢いでブログにも書き込んでくれました。こちら→(
また、神戸の海文堂書店のブログ(11月2日の日記)にも
詳細な紹介が出ています。こちら→(

大方の感想は、「読んでいて胸が熱くなった」
「哲学的なところは少々難解だが、一気に読んでしまった」
「訳文がこなれていて読みやすい」といったものですが、
結構みなさん読み込んでいて、編集担当の私や
訳者の杉村裕史氏も驚くような反応や感動的な感想文が
多いので、ここで一気に紹介してみます。

「とても読みやすくて、妻をいたわり、
やさしく語りかける雰囲気がよく伝わってきました。
なれそめの部分は恋愛小説のようで、ロマンチックでよかったです。
筆者はジャーナリストで、知識人階級の人なのに、
やわらかい文章で、素直に心情を表現しているのがいいですね。
母国語を捨てて生きなければいけなかったことなど、
時代背景も興味深かったです。商業主義的な医療行為のこととか、
考えさせることも多かったです。
それに、最後の2頁がすごく感動的でした。
あとがきも、いろんな情報が盛り込まれていて読み応えがあり、
グリーンと茶色が基調の装丁も上品で、とても素敵な感じです。
性別、年代に関係なく楽しめる本ですね」(アラフォー女性)


「私には全く未知の作者でしたが、このような夫婦がいたことを知り、
近年味わったことのない大きな感動を覚えました。……
一読後、思い出を綴ったあと奥さんの後追い自殺をした
江藤淳氏のことや、やはり亡妻との思い出を本にした川本三郎氏のことを
想起しましたが(いずれも子供のいない、夫婦きりの結婚生活で、
絆がより強かったと思われます)、感情を抑制し、冷静に、
客観的に夫婦の日々の真実を描き切った本書の重みには
かなわないと思いました」(50代男性)


「若い人に読んでもらいたい。これから結婚しようとする
カップルにも。ちょうど12月に教え子の結婚式があるから、
プレゼントすることに決めた」(40代女性)


「『また君に恋をした』を手にとったところ遅読の私にしては
奇跡的に冒頭から一気に入り込んですぐ読み終えてしまいました。
こういう男女の愛が現実にあったという感動で涙ぐみ
奇跡のカップルを羨ましく思います。
さらに彼らがニューヨークで抱いたアメリカ文明への嫌悪感や
「再道具化社会」の概念、イリイチの「自主管理」
「脱病院化社会」の概念は今現在の私の日常の意識なので、
当時は最先端であっただろうこの方々に
難しい話題でありながら親近感を覚えました」(アラフォー女性)


「ゴルツの老齢になってからの強烈な想い。「要するに
本質的なことはただ一つ、君と一緒にいることだ」という
一語に集約される人生。特に晩年の人生。
もうすぐ大台になる小生としては我が身を振り返るに
心が痛む一冊です。日本のカップルは中年以降、パートナーを
疎ましく思う人も多いし、妻への想いを素直に出してたまるか、
という照れ屋も多いけど、こうもストレートに書かれると
いろいろ考えると思うなあ」(アラカン男性)


「ふたりがともに生きてきて、そのことがふたりにとって
かけがえのない、大事なことなのだということは切々と伝わってくるね。
そしてどれほど夫が妻を、ある種複雑な思いを持ちながらも、
愛していたか、わかる気がする」(50代男性)


「みなさんに手に取ってほしい一冊があります。
アンドレ・ゴルツ著『また君に恋をした』
著者の妻へのあふれる思いに胸を打たれたのでここに紹介します。
これは、著者が病の妻に宛てて最後に書いた感謝の手紙。
この本が出版されるのを待って、2007年、
二人は共に人生に幕を引きました。著者83歳、妻82歳。
著者はフランスを代表する哲学者で、自己や社会体制について苦悩した人生。
その隣にはいつも妻がいて支えてくれていた。
その妻が一歩、一歩、死に近付いていく。
「君はちょうど八十二歳になったばかり。それでも変わらず美しく、
優雅で、いとおしい。一緒に暮らし始めて五十八年になるけれど、
今ほど君を愛したことはない。最近また、君に恋をした。
僕の胸のここには再びぽっかりと穴が空いていて、
それを埋めてくれるのは僕に寄り添ってくれる君の身体だけだ
———僕たちは二人とも、どちらかが先に死んだら、
その先を生き延びたくはない。叶わないこととはいえ、
もう一度人生を送れるならば二人で一緒に送りたい」
共に生きた人生が終わりを迎えようとする時、苦悩も後悔も超えて
こんなにも熱い思いがあふれるものなのか…。
途中で若い頃の自己や社会への考察が出てきてそのあたりは
哲学者らしく難解なんだけど、そこを経て出た著者の
長年の哲学の結論が「要するに本質的なことはただ一つ、
君と一緒にいること」だということにもまた胸打たれます。
難しい部分で挫けず最後まで読むと感動が待っています。
ぜひ手に取って読んでもらえたらと思います」(20代女性)



matakimi_cover9アンドレ・ゴルツ/杉村裕史 訳

また君に恋をした

Lettre à D.  Histoire d’un amour
四六判変形上製144頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-805-8 C0097 好評発売中!

「君はもうすぐ82歳になる……それでも
変わらず美しく, 優雅で, いとおしい」




83歳の哲学者は, 長年連れ添った不治の病の
妻に宛てて, 最後のラブレターを書き上げた。ふたりは
互いを補い合いながら人生を歩み, 共に幕を閉じた……。

 

編集部通信/いよいよ明日!

2010年 11月 11日

ジュンク堂新宿店8階カフェで開催される
栗原幸夫さんと野崎六助さんのトークセッションが、
いよいよ明日に迫りました。
行こうかどうしようかと迷っているかたは、
ここはひとつご決断のうえ、お立ち寄りを!!
「えっ、あのひとも?」というようなかたが、
観客のなかにまざっているかもしれません!?



この秋に相次いで小社より刊行された
栗原幸夫さんの『わが先行者たち 文学的肖像』
そして、野崎六助さんの『日本探偵小説論』
この2著は、いずれも450ページ前後という手応えのある本となって、
おふたりの仕事のメルクマールとも言うべき作品ですが、
その刊行を記念して、おふたりのトークセッションを開催いたします。

テーマは……  1920年代の反逆思想!

アナキストやマルキストたち、そして芸術や思想や文化が
混沌としながら爆発し、ときには暴発さえしたこの時代。
現代社会に欠けている《反逆の思想》、
あるいは、もっともリアルな《生の拡充》の表現をめぐって、
ぞんぶんに語り尽くします。

概要は以下の通りです。白熱した展開が期待されますので、
ふるって足をお運びください。(編集部 Naovalis)

◎講 師:栗原幸夫さん(批評家/編集者)× 野崎六助さん(作家/評論家)
◎日 時
:2010年11月12日(金) 18時30分開演(18時開場)
◎場 所:ジュンク堂書店新宿店(三越新宿店内)8Fカフェ(定員50名)
◎入場料:1,000円(ドリンク付)
◎ご予約・お問い合わせ:ジュンク堂書店新宿店 tel. 03–5363-1300
◎ジュンク堂書店HPの詳細はこちら→(

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senkosha001栗原幸夫

わが先行者たち——文学的肖像

四六判上製/466頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-803-4 C0095  好評発売中!


危機の瞬間にひらめく回想——。
自在な《精神の運動》による戦後文学/思想史の軌跡。



編集者として、批評家として、あるいは
べ平連やAA作家会議のアクティヴィストとして。
埴谷雄高、中野重治、堀田善衞ら《戦後》という時代を協働した、
こよなき《先行者たち》への批評/オマージュを集成する。
【附・著者による自筆略年譜】


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nihontantei_cover野崎六助

日本探偵小説論

四六判上製/444頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-801-0 C0095  好評発売中!


真犯人、それは《近代日本》なのか !?




関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。

 

今月の書評『クリスチャン・ボルタンスキ—の可能な人生』

2010年 11月 11日

このまえの日曜日(11月7日)付の読売新聞に、
『クリスチャン・ボルタンスキ—の可能な人生』の
書評が掲載されました。評者はアメリカ文学者で、
早稲田大学の 都甲幸治 さんです。
「自分に正直でい続けるというのはこれほど偉大なことなのか」
と、都甲さんらしいフレーズで、本書で語られる、
ボルタンスキ—という高度な記名性を有したアーティストを
評していただきました。全文はこちら→()。
都甲さん、ありがとうございます!

7月に来日したボルタンスキ—さんは大変な知日家でもあり、
弊社でもトークセッションをしていただきましたが、
この出色の自伝(自己を語ったインタビュー集)にも、
日本版オリジナルの補遺として「日本のこと」が
語られています。未読の方は、ぜひ手にとってみてください。


possiblelifeクリスチャン・ボルタンスキ—+カトリーヌ・グルニエ
佐藤京子 訳

ボルタンスキ—の可能な人生

A5判上製/320頁/定価4500円
ISBN978-89176-789-1   C0070 好評発売中!

 

11月の新刊『モンテスキューの孤独』『ユダヤ人を救え!』

2010年 11月 9日

montesqシャードルト・ジャヴァン/白井成雄訳

モンテスキューの孤独

四六版上製 288頁/定価2800円+税 装幀=宗利淳一
ISBN978-4-89176-807-2  好評発売中!


「どうしたらフランス人になれるの?」
複数文化をさすらう女性の孤独を描く、
出色のフィクション。


テヘランからイスタンブールへ、そして少女の頃からの
あこがれだったパリに逃れてきたロクサーヌ。
彼女は孤独のうちに、18世紀の思想家モンテスキューにあてて
手紙を書く。いまわしい過去の世界を忘れられるのだろうか、
新しい国・新しい言葉のなかで……。





judish_coverエミー・E・ワーナー/池田年穂 訳


ユダヤ人を救え! デンマークからスウェーデンへ

四六判上製272頁 定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-806-5 C0098  好評発売中!


迫害と殲滅が迫る戦火のなか、
デンマーク国民の選択とは?
ユダヤ人救出の貴重なドキュメント!



第二次世界大戦の戦火のなか、
ナチ占領下で国内のほとんどすべてのユダヤ人を
スウェーデンに逃亡させたデンマーク国民の
人道的決断と勇気ある行動。
生きのびたユダヤ人たちへのインタヴュー、
彼らの手紙や体験記等々を縦横に駆使して、
生き生きと描くその救助劇の全貌。

 

今月のサンヤツ

2010年 11月 2日

e8aaade5a3b2e382b5e383b3e383a4e38384001去る 10月30日付(土)の毎日新聞朝刊第1面、
および 10月31日(日)の読売新聞朝刊第1面に、
3段8分の1広告、いわゆるサンヤツを出稿しました。

今回は、先月末から刊行を開始した『小島信夫批評集成』と、
最新刊の『また君に恋をした』の2点です。
(左の画像は読売掲載分。クリックで拡大します)

いずれも水声社の自信作。ぜひ書店/ネット書店で、
実物をご覧のうえ、お求めください!

e8aaade5a3b2efbc8fe8aaade69bb8e381a8e587bae78988001さらにさらに、
読売新聞には、10月30日(土)付夕刊、
そして本日 11月2日(火)付夕刊 と、
このかん2回つづけて
『また君に恋をした』が紹介されました。
こちらもあわせてごらんください。
左の画像は30日付の「読書と出版」欄より。

 

11月の新刊/グラン=ギニョル傑作選

2010年 11月 1日

grandguignol_cover-2真野倫平編・訳

グラン=ギニョル傑作選——ベル・エポックの恐怖演劇

A5判上製/272頁+カラー口絵8頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176-808-9  C0074  11月5日頃発

硫酸をかけられ、
脳髄を切り刻まれ、
生皮をはがれる人間たち!



ベル・エポックのパリで生まれた恐怖演劇、グラン=ギニョル。
マッド・サイエンティスト、ギロチン、人体改造、拷問などの
猟奇的なモチーフで人々を恐怖の渦に陥れた、代表作七篇を収録!
◎ 充実したグラン=ギニョル主要作品紹介つき。


——
目次
——
序文(アニェス・ピエロン)
『闇の中の接吻』(モーリス・ルヴェル)
『幻覚の実験室』(アンドレ・ド・ロルド/アンリ・ボーシェ)
『悪魔に会った男』(ガストン・ルルー)
『未亡人』(ウジェーヌ・エロ/レオン・アブリク)
『安宿の一夜』(シャルル・メレ)
『責苦の園』(ピエール・シェーヌ)
『怪物を作る男』(マクス・モレー/シャルル・エラン/ポル・デストク)

グラン=ギニョル主要作品紹介
解説
書誌

 

10月の新刊/『また君に恋をした』

2010年 10月 22日

matakimi_cover9アンドレ・ゴルツ/杉村裕史 訳

また君に恋をした

Lettre à D.  Histoire d’un amour
四六判変形上製144頁/定価1500円+税
ISBN 978-4-89176-805-8 C0097 10月28日頃発売!

「君はもうすぐ82歳になる……それでも
変わらず美しく, 優雅で, いとおしい」




83歳の哲学者は, 長年連れ添った不治の病の
妻に宛てて, 最後のラブレターを書き上げた。ふたりは
互いを補い合いながら人生を歩み, 共に幕を閉じた……。

◎ サルトルが「ヨーロッパで最も鋭い知性」と評した
哲学者アンドレ・ゴルツが, 2007年9月22日,
58年間一緒に暮らした妻と手を取り合ってこの世を去った。
本書はその一年前, パリで出版されて話題をよび,
ベストセラーとなった「愛の物語」で, 妻へのオマージュ,
感謝の気持ちをこめて書かれた最後の手紙である。

ンドレ・ゴルツ(André Gorz)
1923年, ウィーン生まれのオーストラリア人。スイスに亡命したあと,
1954年にフランスに帰化。哲学者, 経済ジャーナリスト,
政治的エコロジーの先駆者として世界的に名を知られ,
ヨーロッパ左翼の良心と呼ばれた。主な著書に,
『裏切者』(1958), 『エコロジスト宣言』(1975),
『資本主義・社会主義・エコロジー』(1991)などがある。

 

小島信夫批評集成、まもなく配本開始!

2010年 10月 19日

『漱石を読む』に攫われて、私はなんだかいい気分です。
なんなら元気になったと言ってもいいくらい。ほんとうに楽しかった。
——千野帽子




kojimanobuo_8_cover30年におよぶ小島信夫の
文学/芸術評論を全8巻に集成する、
水声社ならではの画期的な試み、
『小島信夫批評集成』が、
ついに今月末から刊行開始です。
記念すべき第1回配本は、
長らく復刊が待望されてきた
『漱石を読む』(1993年)です。

『明暗』のいいしれぬエロスとは?
漱石作品が先取りしている日本文学の未来を予見し、
さまざまな先行研究や同時代批評を吸収しながら、
ついには徳田秋声と一体化する(!)、晩年の代表作。
2,000枚近くに及ぶ長篇のため、第1回配本ながら
かなり重厚な1冊となってしまいましたが、
少部数の製作となっておりますので、
ぜひこの機会にお求めください。(編集部 Na)

小島信夫さんのご命日10月26日に書店搬入、
以降、全国の書店で発売予定です。


『漱石を読む  小島信夫批評集成  第8巻』
A5判上製688頁/定価8000円+税
ISBN978-4-89176-818-8 C0395

*全巻ご購読者特典として、
もれなく非売品の『小島信夫読本』をプレゼント。
くわしくは内容見本をご覧ください。


*内容見本は全国の書店で配布中です。
直接お申し込みいただくには、小社営業部へお願いいたします。
郵便切手80円分を同封のうえ、
〒112-0002 文京区小石川2-10-1-202
水声社営業部・内容見本係 まで。

 

10月の新刊/『人生 使用法〈新装版〉』

2010年 10月 18日

jinsei_coverジョルジュ・ペレック/酒詰治男訳

『人生 使用法』新装版

四六版上製736頁/定価5000円+税
ISBN978-4-89176-804-1  10月27日頃発売
装幀=宗利淳一

『煙滅』で話題を呼んだペレックの代表作、
『人生 使用法』が新装版として再登場!



『人生 使用法』は、小説の歴史上最後の、真の「事件」である
——イタロ・カルヴィーノ


その知的なワナ、秘密の言語システムは、おそろしく愉快!
——ポール・オースター


500枚の水彩画を描き、それをパズルに作らせた男。
伝説を盲信していた考古学者。
贋の聖杯を買った薬剤師。
謎の部族を追い続ける人類学者。
辞書から死語となった言葉を抹殺する男。
〈降霊術〉で暮らす脱走将校とその愛人。
空中ブランコから降りないアクロバット芸人……。

めくるめく冒険譚、奇譚の数々。
ラブレー、ジャリ、ルーセル、カフカ、
フロベール、プルースト、ジョイス、
ボルヘス、ガルシア=マルケスなどの
テクストの断片を象嵌しつつ、
交響する物語を織りあげた壮大なメタフィクション。

登場人物 1,000人以上! 奇想天外な百物語が、
いま、わたしたちの目の前で繰り広げられる——。

 

10月の新刊/『田舎のミューズ 他:バルザック芸術狂気選集3』

2010年 10月 15日

e38390e383abe382b6e38383e382afefbc93e69bb8e5bdb1026バルザック芸術/狂気小説選集3
【文学と狂気】

田舎のミューズ 他

加藤尚宏・芳川泰久訳

四六判上製392頁/定価3500円+税
ISBN978-4-89176-793-8 C0397 10月25日頃発売!


すべて新訳となる新シリーズ第3弾!

愛ゆえに真実を捏造する女=作家たち。
吝嗇家の夫との田舎暮らしの虚しさを埋めるため、
詩を書きはじめたディナ。それが話題となり、
批評家ルーストーの愛人となった彼女は、
とうとう夫を捨て、パリへと出てくるが……。
ジョルジュ・サンドを彷彿させるような
女性作家を主人公とした表題作など、
「文学」と「狂気」が交錯する2篇を収録。

—–
目次
—–
田舎のミューズ(加藤尚宏訳)
ド・カディニャン公妃の秘密(芳川泰久訳)

解説:言語の使用価値を超えて——〈女性=作家〉の誕生

—-
既刊2冊 も大好評発売中!

 

編集部通信/パリの読書界の話題をさらった「手紙」、まもなく刊行!

2010年 10月 9日

君はもうすぐ82歳になる。身長は6センチも縮み、
体重は45キロしかない。それでも変わらず美しく、優雅で、
いとおしい。僕たちは一緒に暮らし始めて58年になる、
しかし今ほど君を愛したことはない。僕の胸のここには
ぽっかりと穴が空いていて、僕に寄り添ってくれる
君の温かい身体だけがそれを埋めてくれる——。

_

gorz日本ではあまり知られていませんが、
ジャン=ポール・サルトルが
「ヨーロッパで最も鋭い知性」と
評した哲学者/経済ジャーナリスト/
エコロジストのアンドレ・ゴルツが、
2007年9月22日、パリ近郊の
ヴォスノン村の自宅で、長年連れ添った
不治の病の妻とともに自ら人生の幕を閉じました。

ふたりは手を取り合って亡くなっていたのですが、
スキャンダル扱いされることはなく、
その一年前に刊行された
話題作 Lettre à D.(Dへの手紙)が
俄然また注目を浴びることになったのです。

小社刊行予定の『また君に恋をした』はその邦訳版で、
83歳の哲学者アンドレ・ゴルツが、人生を共に歩んだ妻への
オマージュ、感謝の気持ちをこめて書き上げた
「最後のラブレター」であり、「究極の愛の物語」です。

冒頭に引用した美しい文章ではじまり、「僕たちは二人とも、
どちらかが先に死んだら、その先を生き延びたくはない……」という言葉で
締めくくられる本書は、妻への愛惜の情に満ちた語りと
哲学的モノローグが交錯する、きわめて短い作品ですが、
二人の58年間にわたる愛の歴史がずしんと胸に迫ってきて、
読後の余韻がなかなか消えませんでした。

今から18年前にパリ近郊の田舎の家にゴルツ夫妻を
訪れたことのある杉村裕史氏が、
追悼の想いをこめて翻訳した『また君に恋をした』は、
10月下旬に発売予定。四六判変形上製/144頁という、
ちょっと小さめの瀟洒な本で、定価も1500円(税抜)と
お求めやすくなっていますので、
ぜひ本屋さんでご覧になってみてください。(編集部So)

写真: 若き日のゴルツ夫妻、セーヌ河畔にて。(c)éditions Galilée

 

10月の新刊『日本探偵小説論』

2010年 10月 7日

nihontantei_cover野崎六助

日本探偵小説論

四六判上製/444頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-801-0 C0095 10月8日頃発売!


真犯人、それは《近代日本》なのか !?



関東大震災の瓦礫のなかから、純文学やプロレタリア文学、
そして映画や写真などの新興メディアをも巻き込んで
自立してゆく《探偵小説》。そのスリリングな通史にして、
名著『北米探偵小説論』と双璧をなす、著者畢生の長篇文学論!
《探偵小説》なくして近現代の日本文学はありえない……。

『ミステリ・マガジン』2005年1月号〜10年6月号まで、
足かけ6年、66回にわたって好評連載された、
「夜の放浪者たち—-モダン都市小説における探偵小説未満」に
加筆し、まったく新たに再構成した決定版、ついに刊行!


—–

《目次》





第1章 亂歩変幻
1 泥棒にもプロレタリアにもなれず
2 恐ろしき分身ゲームの果てに
3 空の空なる空気男
4 青の時代前史  黒石と綺堂
5 帝国主義下の探偵小説


第2章 天使のいない街
1 モダン都市の前景
2 川端康成における探偵小説未満
3 地震の娘と『浅草紅団』
4 『雪国』への撤退は何を意味するか
5 地震の天使もう一人
6 大震災余話
7 赤いプロレタリアの天使


第3章 夜の放浪者たち
1 江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」
2 地味井平造「煙突奇談」
3 稲垣足穂「瓶詰奇談」
4 大阪圭吉「デパートの絞刑吏」
5 花田清輝「七」
6 尾崎翠『第七官界彷徨』
7 ブラッサイと夜の眼
8 写真家から探偵へ
9 遊民から探偵へ  ベンヤミンの天使
10 内田百間、債鬼に追われる放浪者
11 残夢三昧・百間三昧
12 谷崎潤一郎、妻殺しの放浪者
13 谷崎潤一郎『黒白』
14 幻の女に焦がれて


第4章 上海された男たち
1 私には上海が絶対に必要であった。
2 映画のなかの〈上海〉
3 魔都としての上海
4 放浪と故郷喪失と帰還と
5 マボロシの上海小説ひとつ
6 金子光晴「芳蘭」とはどういう小説か
7 金子光晴から横光利一へ
8 横光利一『上海』ヴァリアント
9 天使と糞


第5章 放浪の終わり 探偵小説の完成
1 浜尾四郎における昭和十年代前期
2 浜尾四郎「彼が殺したか」
3 木々高太郎と漱石
4 木々高太郎「完全不在証明」
5 木々高太郎『人生の阿呆』
6 探偵小説の形式はいまだ発見されていない
7 木々高太郎「文学少女」
8 木々高太郎『折蘆』
9 小栗虫太郎「三重分身者の弁」
10 小栗虫太郎「完全犯罪」
11 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
12 『黒死館殺人事件』とユダヤ人問題
13 小栗虫太郎「寿命帳」
14 小栗虫太郎「白蟻」


第6章 消されたレポート



第7章 戦後探偵小説の一側面
1 小栗虫太郎「悪霊」
2 久生十蘭『ココニ泉アリ』
3 橘外男『妖花 ユウゼニカ物語』
4 ポストコロニアル小説としての『雪国』
5 ポストコロニアル小説としての『浮雲』
6 江戸川乱歩『ぺてん師と空気男』
7 内田百間「東海道刈谷駅」
8 谷崎潤一郎『残虐記』
9 谷崎潤一郎『鍵』
10 橘外男『私は前科者である』
11 野口赫宙『ガン病棟』

出典・参考文献
人名索引


あとがき

 

編集部通信/『絵本の子どもたち』その後

2010年 10月 5日

今年4月に『絵本の子どもたち』を刊行してから約半年、
地道ながらも確実に読者が増え、評判をきいて
買い求めるひとが後を絶ちません。
そのようななか、関西の大学生協のかたが本を読んで感動し、
「『絵本の子どもたち』と14人の絵本作家」フェアを企画、
来月あたりから大阪教育大学の生協店舗を皮切りに
展開していくという話も入ってきています。

9月28日発売の『ユリイカ』10月号では、
「子どもをめぐる冒険」と題した、
『絵本の子どもたち』についての著者自身による短いエッセイが、
巻末の「われ発見せり」というコーナーに掲載されました。

そして、九州の『西日本新聞』10月3日付朝刊に、
「ページをめくれば楽しい王国」という見出しで、
歌人の松村由利子氏による素晴らしい書評が載りました。
「電子書籍元年」に『絵本の子どもたち』が出たことの
意義についてふれておられますので、
ぜひご覧になってみてください。こちら→ (編集部 So)


ehon_cover寺村摩耶子著

『絵本の子どもたち 14人の絵本作家の世界』

ISBN 978-4-89176-779-2  C0095
A5判上製320頁+カラー口絵8頁 定価3500円+税
全国書店絵本・芸術書コーナーほかで好評発売中!





子どもの本を舞台に、
美しい作品を作りつづけている絵本作家たち。
14人のクリエイターたちの魅力あふれる世界を
200点以上の絵本をとおしてみつめた
注目の絵本作家論集!
貴重な資料であると同時に、
驚きと楽しさにみちた生のドキュメント。
カラー口絵8頁ほか図版多数収録。

——絵本の森への招待。14の入口——
片山健/長新太/スズキコージ/井上洋介/
荒井良二/飯野和好/たむらしげる/
宇野亜喜良/酒井駒子/沢田としき/
谷川晃一/島田ゆか/南椌椌/木葉井悦子

 

10月の新刊:《シュルレアリスムの25時》第4回配本

2010年 10月 4日

dupley星埜守之著

ジャン=ピエール・デュプレー 黒い太陽

四六版上製/232頁/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-764-8  C0398 10月10日頃発売

心揺さぶる、絶望のなかの無垢さ
——アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ




死者、分身、怪物たち……
黒いユーモアを描く闇の詩人

遺稿『終焉と流儀』ほか、関係者の証言も収録!


「ぼくはこの惑星にアレルギーがあるんだ」
といい残し、29歳で自ら命を断った
ジャン=ピエール・デュプレー。
単語の解体/捏造/増殖によって、
ことばに新次元の可能性をつけ加える、
その戦略的な詩を精読するとともに、
あらたな局面を迎えつつあった
当時のシュルレアリスム運動全体の動向をたどる。

 

《小島信夫批評集成》全8巻、10月下旬より刊行開始!

2010年 10月 1日

《批評家》小島信夫の誕生——

kojima_collection近年、著しく再評価が進む
稀代の作家・小島信夫(1915 – 2006)。

ほとんどの既刊本が入手困難でありながら、
「小説以上に小説的」と評され、
いまなお熱烈な読者を持つ
彼の《文芸評論/批評活動》に
スポットライトをあて、
その文業を全8巻に集成する画期的な新シリーズ。
小社創立30周年記念出版。


第1回配本は、長らく絶版で復刊が待望されていた
晩年の大著『漱石を読む——日本文学の未来』(初版=1993年)。
詳細な年譜および著作目録を併載し、10月下旬、全国書店で発売予定。

ISBN978-4-89176-818-8 C0395 A5判上製680頁 予価8000円+税

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全8巻ご購読者には、もれなく『小島信夫読本』
(仮題、非売品、50〜60頁予定)をプレゼント!
単行本未収録作品などを収録した必携本です。
詳細は内容見本をごらんください。

*ご希望の方は、80円切手を同封のうえ、
下記の宛先までお申し込みください。
(10月中旬より全国の書店でも配布予定です)

112-0002  東京都文京区小石川 2-10-1-202
水声社営業部・小島信夫係


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小島信夫批評集成 全8巻

編集委員——千石英世、中村邦生、山崎勉(五十音順)


【本集成の特色】


・既刊単行本を定本に、小島信夫の評論・批評を集成する初めての試み。
これによって、批評家、文学理論家としての小島信夫を再発見することが
ようやく可能になります。

・1960年代から晩年にいたるまで、しばしば
「小説以上に小説的」と評された、小島信夫ならではの
文学観・文学論を時系列で俯瞰できる構成です。

・新しい読者の便宜を考慮して、新字新かなを採用します。

・各巻に充実した解説を付し、小島文学への理解を深めます。

・付録月報には各界第一人者によるエッセイを収載。
作家の人間像を浮かびあがらせます。


【体裁】

A5判上製/各巻400〜700頁/予価4,000〜8,000円(+税)

第1回配本=第8巻『漱石を読む』2010年10月下旬刊。
以後、毎月1冊配本、2011年5月に全巻完結予定。


【各巻の内容】


第1巻 現代文学の進退 *第6回配本(2011年3月)


『小島信夫文学論集』(晶文社、1966)
『現代文学の進退』(河出書房新社、1970)
*解説=中村邦生(小説家、大東文化大学教授)


第2巻 変幻自在の人間 *第7回配本(2011年4月)


『小説家の日々』(冬樹社、1971)
『変幻自在の人間』(冬樹社、1971)
『文学断章』(冬樹社、1972)
*解説=都甲幸治(アメリカ文学者、早稲田大学准教授)


第3巻 私の作家評伝(全) *第5回配本(2011年2月)

『私の作家評伝 I』(新潮社、1972)
『私の作家評伝 II』(新潮社、1972)
『私の作家評伝 III』(新潮社、1975)
*解説=千石英世(批評家、立教大学教授)


第4巻 私の作家遍歴 I/黄金の女達 *第2回配本(2010年11月)

『私の作家遍歴 I /黄金の女達』(潮出版、1980)
*解説=保坂和志(小説家)


第5巻 私の作家遍歴 II /最後の講義 *第3回配本(2010年12月)


『私の作家遍歴 II /最後の講義』(潮出版、1980)
*解説=宇野邦一(哲学者、立教大学教授)


第6巻 私の作家遍歴 III /奴隷の寓話 *第4回配本(2011年1月)


『私の作家遍歴 III /奴隷の寓話』(潮出版、1981)
*解説=阿部公彦(英文学者、東京大学准教授)


第7巻 そんなに沢山のトランクを *第8回配本(2011年5月)


『そんなに沢山のトランクを』(創樹社、1982)
『原石鼎』(河出書房新社、1990。増補新版、1992)
『X氏との対話』(立風書房、1997)
*解説=堀江敏幸(小説家、早稲田大学教授)


第8巻 漱石を読む *第1回配本(2010年10月)


『漱石を読む』(福武書店、1993)
+書誌・年譜=柿谷浩一(近代日本文学、早稲田大学助手)
*解説=千野帽子(文筆家)