10月の新刊:『気配、その美』

2014年 10月 22日

kehai_cover2-1『気配、その美』

著者=千種さつき
A5判並製/224頁/定価=2800円+税
ISBN 978-4-8010-0071-1 C0076 好評発売中!

Creativity of Tea, Now!

ニューヨーク、パリ、ローマ、東京…… 世界各地で友情の〈花〉が開く。Tea-activist SATSUKI のピュアな魂が放つ〈美〉の茶会のすべて。
《茶会の日が決まると、そこへ向けて一気に集中力が増す。頭の中にいろんな実験道具が並べられ、使い方を調べ、調合し、その日を待つ。釜、茶碗、水差などの茶道具、軸、花などの取り合わせをはじめ、季節に合わせた、抹茶。それを引き立てる水、茶会を象徴する菓子、かすかな匂い、人の動作、時には空気を揺らす音、それが闊達な作用をそれぞれに及ぼす時、茶会に場の神が降りてくる。と、それは美の気配が立ち上がる瞬間なのである。》(「まえがき」より)

【目次】
まえがき

《時》をくみあげる茶会
一、 湧き上がる湯……ニューヨーク「温泉茶会」
二、 平安朝の茶会を夢見て……五島美術館「墨林茶会」
三、 中秋の月の光にアフリカの精霊が……東京日仏学院「ワフリカ茶会」
四、 宙点前と「地獄の首都」……セゾン現代美術館「遭遇の茶会」
五、 危機のなかの春……ローマ市主催「3.11義援金募集茶会」
六、 立ち上がる肉体……セゾン現代美術館「青の茶会」
七、 言葉そして鏡……放心庵「坂部先生を送る茶会」

茶会へいざなう《物》

スーツケース……道具は海を越えていく
袖……長いたもとにひそむ謎
足袋……野生を隠す足元の白
菓子……甘い魔力を引きよせる
茶箱……脱皮する茶道具

座談会――晩秋の軽井沢で〈茶〉を語る

跋――「気配の美」 小林康夫

謝辞

【著者】
千種さつき(ちぐささつき)  1953年、福岡県に生まれる。お茶の水女子大学卒業。お茶は、裏千家、櫻井宗養・宗幸先生に師事。お茶の伝統の中にひそむ「気配の美」を求めて、世界各地で実験的な茶会を開催している。

 

9月の新刊:《叢書記号学的実践》『物語における時間と話法の比較詩学』

2014年 10月 22日

物語における書影『物語における時間と話法の比較詩学―― 日本語と中国語からのナラトロジー』

橋本陽介
A5判上製/518頁/定価=7000円+税
ISBN978−4−8010−0057−5 C0098 好評発売中!
装幀者:中山銀士

これまでの物語論の議論を振り返りながら,テクスト言語学的な見地にもとづき個別言語における物語の言語使用を比較・分析しつつ、現行の物語論を日本語と中国語の立場から更新する。ナラトロジーの新しい地平を拓く気鋭の著者の野心作。

【目次】
序論 物語の比較詩学とは何か
第1章 物語論の術語の再検討から比較詩学へ
第2章 語りの位置と物語における時間
第3章 語りの位置と話法
結論 本書の提出する一般理論への課題

【著者】
橋本陽介(はしもとようすけ) 1982年、埼玉県に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得。博士(文学)。専攻、中国語を中心とした文体論、比較詩学。現在、慶應義塾大学非常勤講師(中国語)。主な著書に、『7カ国語をモノにした人の勉強法』(祥伝社、2013)、『ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論』(水声社、2014)などがある。

【関連書】
ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論 橋本陽介 2800円+税
フィクションの修辞学 W・C・ブース/米本弘一・服部典之・渡辺克昭訳 7000円+税
昔話の形態学 ウラジーミル・プロップ/北岡誠司+福田美智代訳 5500円+税
物語のディスクール G・ジュネット/花輪光・和泉涼一訳 5000円+税
物語の詩学――続・物語のディスクール G・ジュネット/和泉涼一・青柳悦子訳 3000円+税
フィギュールⅢ G・ジュネット/花輪光監訳 3500円+税
小説と映画の修辞学 シーモア・チャトマン/田中秀人訳 5000円+税

 

9月の新刊:『経験と出来事』

2014年 10月 22日

経験と出来事カバー『経験と出来事―― メルロ=ポンティとドゥルーズにおける身体の哲学』

小林徹
A5判上製/405頁/定価=6000円+税
ISBN978−4−8010−0069−8 C0098 好評発売中!
装幀者:atelier fusain

揺れ動く〈身体〉――

「経験」に根差したメルロ=ポンティの思考と,絶えず「出来事」へと滑り込んでいくドゥルーズの思考とを往還しながら,現代における〈身体〉の在り処を指し示す。《「私」とは、実は、無数の他者を含んで変奏され続ける意識のメロディーなのではないだろうか。「世界」とは、実は何よりもまず、絶えずおのれを刷新し、新しいものを無限に生み出していくような創造的力動の劇場なのではないだろうか。「ここでいま」過ぎ去っていくものとは、いったい何なのか。われわれは「現在」の只中で、〈変化〉の方へと目を向け直さねばならない……。》

【目次】
序論

第一部 意味の発生
第一章 世界の経験/第二章 語る言葉と語られた言葉/第三章 言葉と沈黙/第四章 意味の論理学/第五章 出来事の実現と反実現/第六章 思考の発生学

第二部 肉と襞
第一章 世界の奥深さ/第二章 〈肉〉の存在論に向けて/第三章 〈意識〉の哲学――レイモン・リュイエル/第四章 〈情報〉の哲学――ジルベール・シモンドン/第五章 世界という卵/第六章 襞から襞へ

第三部 幻覚的瞬間
第一章 現象的領野/第二章 スタイルの発生/第三章 線の冒険――メルロ=ポンティとアンリ・ミショー/第四章 精神の試練――ドゥルーズとアンリ・ミショー/第五章 絵画の力/第六章 運動と時間――二つの映画論

結論

【著者】
小林徹(こばやしとおる) 1975年,東京都に生まれる。パリ第1大学大学院哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専攻、フランス現代哲学。現在,慶應義塾大学ほか非常勤講師。主な論文に,「身体を横断するもの――レイモン・リュイエルの思想」(『フランス哲学・思想研究』第18号,2013)などがある。

 

9月の新刊:《批評の小径》『夢かもしれない娯楽の技術』

2014年 10月 22日

夢かもしれない『夢かもしれない娯楽の技術』

著者=ボリス・ヴィアン
編訳者=原野葉子
四六判上製/264頁/定価=2800円+税
978-4-8010-0058-2 C0097 好評発売中!
装幀=宗利淳一

日常を優雅に遊ぶヴィアン版人生使用法

コルビュジエ風DIYのすすめ、クラシックカーへの偏愛、億万長者になる方法、市バスの生態学、旅行記、戦争論、ロボット社会で生き延びる道……
現実と虚構のあわいで軽やかに綴られたエッセイを、「くらす」「でかける」「まなぶ」の3部に収録。ささやかな日々の暮らしをとびきり贅沢に過ごすための、突拍子もないアイディアが満載!

【目次】
第1部 くらす
極小サイズのアパルトマン
読者への回答
アパルトマンを見つけてしまって……
君に億万長者の素質はあるか?
お上品なだけじゃだめ……思いやりが大事
ディープキスよ永遠なれ
2000年の日曜日
もしも、あと24時間しか生きられないとしたら?

第2部 でかける
乗合バス
1900年風のバカンス
まだ新車を買うなんて!
バカンス行くのも楽じゃない
夢かもしれない娯楽の技術

第3部 まなぶ
民衆の知恵についての監督官=発行人への手紙
超重要問題ならびにその他もろもろについての監督官=発行人への手紙
道徳的等式についての監督官=発行人への手紙
戦争ぺてん師についての副執政官男爵閣下への手紙
建築とSF
文芸批評の効用
詩人ロボットなんかこわくない

訳者解説

【著者/編訳者】
ボリス・ヴィアン(Boris Vian)  1920年、パリ郊外のヴィル=ダヴレーに生まれ、1959年、パリに没する。作家、詩人、翻訳家、ジャズ・トランペット奏者、シャンソン歌手など多彩な方面で活躍した。パリ中央工芸学校を卒業後、技師として勤務するかたわら、旺盛な創作・評論活動を開始。「脱走兵」を始めとするシャンソンの作詞や、ジャズ評論によっても知られる一方、作家としてはヴァーノン・サリヴァン名義による『墓に唾をかけろ』(1946年)で発禁処分をうける。文学作品が正当な評価を得たのは死後のことである。代表作に、小説『日々の泡』(1947年)、『心臓抜き』(1953年)のほか、戯曲『帝国の建設者』(1959年)、旅行案内『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』(1974年)などがある。



原野葉子(はらのようこ)  1975年、広島市に生まれる。京都大学大学院博士課程修了。現在、広島文教女子大学講師。専攻、20世紀フランス文学。主な訳書に、レーモン・クノー『文体練習』(共訳、水声社、2012年)、主な論文に、「Poetica pataphysica ボリス・ヴィアンにおけるパタフィジック的想像力について」(博士論文)、「文学空間のn次元を探索する――ペレック/ウリポ/パタフィジック」(『水声通信6』、2006年4月号)などがある。

 

9月の新刊:『まなざしに触れる』

2014年 10月 22日

まなざしに触れる『まなざしに触れる』

著者=鷹野隆大(写真)+新城郁夫(文)
A5判上製/152頁/定価3000円+税
978−4−8010−0047−6 C0072 好評発売中!
ブックデザイン=宗利淳一

 

〈あらゆる境界を侵犯していく影に導かれつつ、政治的かつ美学的な力動として現れる鷹野隆大の写真のまなざしに、私たちは貫かれることになる。〉

主に男性ヌードを撮ることでジェンダーを問う写真家と、その写真のもつ社会へのエロス的侵犯を論じるジェンダー/日本現代文学研究者によるコラボレーション。2人の著者のまなざしはどのように交わり、どのように接するのか。鷹野の写真作品78点を収録。

【目次】
あなたへの距離に触れる
接することと、触れること
物象化に抗して
みずからから抜け出る
対象に見られること
秘密

反=場所
避難都市としての身体

特装版『まなざしに触れる』
A5判上製/クロス装、クロス貼函入/152頁/オリジナルプリント2葉+サイン+エディションナンバー入/収録作品78点/限定30部/定価80000円+税
978−4−8010−0059−9 C0072

オリジナルプリントには下記のAまたはB(各15部)の2枚があります。ご購入にあたって、ご希望がある場合には、AまたはBとご指定下さい。
ただし先着順ですので、品切のさいはご容赦下さい。

A-1
021
A-2
022
B-1
053
B-2
054

【著者】
鷹野隆大(たかのりゅうだい) 1963年、福井県に生まれる。早稲田大学政経学部経済学科卒業。写真集『In My Room』(蒼穹舎、2005年)で第31回木村伊兵衛写真賞受賞。主な個展に、「モノクロ写真」(ユミコ チバ アソシエイツ ビューイングルーム新宿、2012年)、「立ち上がれキクオ」(ツァイト・フォト・サロン、2012年)、「おれと」(ナディフアパート、2009年)などがある。
新城郁夫(しんじょういくお) 1967年、沖縄に生まれる。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、琉球大学教授。主な著書に、『沖縄を聞く』(みすず書房、2010年)、『到来する沖縄』(2007年)、『沖縄文学という企て』(2003年、ともにインパクト出版会)などがある。

 

フリオ・コルタサル生誕100周年、記念シンポジウムが開催されます。

2014年 8月 21日

2014年はアルゼンチンの世界的作家、フリオ・コルタサルの生誕100周年にあたります。それを記念し、セルバンテス文化センター東京では9月15日にシンポジウムを開催する運びとなりました。

弊社では今年2月にコルタサルの処女短編集『対岸』を、8月には円熟期の作品『八面体』を刊行しておりますが、本シンポジウムでは両短編集の訳者、寺尾隆吉先生が登壇されるほか、作家の池澤夏樹先生、ラテンアメリカ文学研究者のグレゴリー・サンブラーノ先生などが参加されます。

いまなお根強い人気をほこり、ラテンアメリカ最高の短編作家に肉薄する本シンポジウムにぜひ足をお運びください。



日時:2014年9月15日(月)14:00〜

会場:セルバンテス文化センター東京

参加ご希望の方はセルバンテス文化センターの下記ウェブサイトよりご予約ください(入場無料)。
http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha96443_67_25.htm

[作家紹介]
フリオ・コルタサル(Julio Cortázar) 1914年、ベルギーのブリュッセルに生まれ、1984年、パリに没した。1918年、両親とともに故国アルゼンチンへ戻り、幼少時から読書三昧の日々を送る。1937年から45年までの地方教員時代を経て、すこしずつ詩や短編小説の創作を手掛けるようになる。1951年、短編集『動物寓意譚』を発表した後にパリへ移り、以降、『遊戯の終わり』(1956年)、『秘密の武器』(1959年)、『すべての火は火』(1966年)などの短編集を書き続けた。1963年発表の『石蹴り遊び』でラテンアメリカ文学の〈ブーム〉に合流し、多くの作家と親交した。1960年代後半以降は、キューバの革命政府を積極的に支持し、またニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線を支援したほか、軍事独裁政権反対運動に加担したが、晩年まで『愛しのグレンダ』(1980 年)、『ずれた時間』(1982年)などの秀作を書き続けた。

《好評発売中》
すべての火は火 2300円+税
対岸 2000円+税
八面体 2200円+税

詳細はセルバンテス文化センターのウェブページをご覧ください
http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha96443_67_25.htm

 

8月の新刊:《フィクションのエル・ドラード》『八面体』

2014年 8月 21日

八面体=カバー『八面体』

フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳
四六判上製/240頁/定価=2200円+税
978-4-89176-955-0 C0397  8月27日発売予定
装幀=宗利淳一

フリオ・コルタサル生誕100年!

日常のなかに突如として闖入してくる《鮮烈な夢のイメージ》を作品へと昇華させるコルタサルが、実験的な語りの手法を用いて《自分の最も奥深い部分》を表現し、幻想と日常の交錯を多面的に描き出した傑作短篇8篇を収録する1974年刊行の短篇集『八面体』の全訳。
付録として、白昼夢を見ているかのような3つの短篇(『最終ラウンド』)に加えて、実践的な短篇小説論(『短篇小説とその周辺』)も併録。

《コルタサルが遺してくれたのは、彼の思い出と同様に色褪せることのない美しさを備えた芸術作品だ。》(ガブリエル・ガルシア・マルケス)

【目次】
八面体
リリアナが泣く
手掛かりを辿ると
ポケットに残された手記

そこ、でも、どこ、どんなふうに
キントベルクという名の町
セベロの諸段階
黒猫の首

最終ラウンド
シルビア
旅路
昼寝

短編小説とその周辺

【著者】
フリオ・コルタサル(Julio Cortázar)  1914年、ベルギーのブリュッセルに生まれる。1918年、両親とともにアルゼンチンへ戻り、幼少から読書三昧の日々を送る。1937年から四五年までの地方教員時代を経て、すこしずつ詩や短編小説の創作を手掛けるようになる。1951年、短編集『動物寓意譚』を発表した後にパリへ移り、以降『遊戯の終わり』(1956年)、『秘密の武器』(1959年)、『すべての火は火』(1966年)などの短編集を書き続けた。1963年発表の『石蹴り遊び』でラテンアメリカ文学のブームに合流し、多くの作家と親交した。1960年代後半以降は、キューバ革命政府を積極的に支持し、ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線を支援したほか、軍事独裁政権反対運動に加担したが、晩年まで『愛しのグレンダ』(1980年)、『ずれた時間』(1982年)などの秀作を書き続けた。一九八四年、パリに死去。

【訳者】
寺尾隆吉(てらおりゅうきち)  1971年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『フィクションと証言の間で――現代ラテンアメリカにおける政治・社会動乱と小説創作』(松籟社、2007年)、『魔術的リアリズム――20世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012年)、主な訳書には、セルヒオ・ラミレス『ただ影だけ』(水声社、2013年)、『疎外と叛逆――ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話』(水声社、2014年)などがある。

◎好評をいただいている《フィクションのエル・ドラード》シリーズに新たなタイトルが加わります。今後も本シリーズにご注目ください。

《フィクションのエル・ドラード》(★印は追加タイトル。定価の表示のあるものは既刊)
襲撃 レイナルド・アレナス/山辺弦訳 (★)
気まぐれニンフ ギジェルモ・カブレラ・インファンテ/山辺弦訳 (★)
バロック協奏曲 アレホ・カルペンティエル/鼓直訳
時との戦い アレホ・カルペンティエル/鼓直訳
方法再説 アレホ・カルペンティエル/寺尾隆吉訳 (★)
対岸 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2000円+税
八面体 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2200円+税 (★)
境界なき土地 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳  2000円+税
ロリア侯爵夫人の不思議な失踪 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳 (★)
夜のみだらな鳥 ホセ・ドノソ/鼓直訳
ガラスの国境 カルロス・フエンテス/寺尾隆吉訳+税 (★)
案内係 ほか傑作短篇集 フェリスベルト・エルナンデス/浜田和範訳 (★)
別れ フアン・カルロス・オネッティ/寺尾隆吉訳  2000円+税
人工呼吸 リカルド・ピグリア/大西亮訳
圧力とダイヤモンド ビルヒリオ・ピニェーラ/山辺弦訳 (★)
ただ影だけ セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳  2800円+税
孤児 フアン・ホセ・サエール/寺尾隆吉訳  2200円+税
傷跡 フアン・ホセ・サエール/大西亮訳 (★)
マイタの物語 マリオ・バルガス・ジョサ/寺尾隆吉訳 (★)
コスタグアナ秘史 フアン・ガブリエル・バスケス/久野量一訳
* タイトル、訳者は予告なく変更になる場合があります。ご了承下さい。

【コルタサルの作品】
すべての火は火  2300円+税

 

8月の新刊:《フィクションの楽しみ》『わたしは灯台守』

2014年 8月 21日

灯台守書影わたしは灯台守

エリック・ファーユ/松田浩則訳
四六判上製/256頁/予価2500円+税
978-4-8010-0053-7 C0097 8月27日発売予定
装幀=宗利淳一

灯台を除けば、この風景の中で永遠に変わらないものなど何もないだろう。

大海原に佇立する灯台。そこにはひとりの灯台守。
孤独の中で彼は書く。自問し、自答する。訴える。苦悩する。妄想する……。
世界から隔絶された男の魂の叫びと囁きを、陰鬱でありながらユーモラスに綴る表題作をはじめ、不条理で幻想的、ときに切なくノスタルジックな珠玉の9篇を収録。

【目次】
列車が走っている間に
六時十八分の風
国境
地獄の入り口からの知らせ
セイレーンの眠る浜辺
ノスタルジー売り
最後の
越冬館
わたしは灯台守
訳者あとがき

【著者】
エリック・ファーユ(Éric Faye) 1963年、リモージュ(フランス)に生まれる。エコール・シュペリユール・ド・ジュルナリスム(リール)に学ぶ。ロイター通信の記者として勤務しながら、1990年より創作活動に入る。主な著書に、『雨の海クルーズ』(Croisière en mer des pluies, 1999)、『痕跡のない男』(L’Homme sans empreintes, 2008)、『長崎』(Nagasaki, 2010. 松田浩則訳、水声社、2013年)、『不滅になって、そして死ぬ』(Devenir immortel, et puis mourir, 2012)などがある。

【訳者】
松田浩則(まつだひろのり) 1955年、福島県いわき市生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、神戸大学大学院人文学研究科教授。専攻、フランス現代文学。主な著書に、『ポール・ヴァレリー『アガート』訳・注解・論考』(共著、筑摩書房、1994年)、主な訳書に、ミシェル・トゥルニエ『海辺のフィアンセたち』(紀伊国屋書店、1998年)、ドニ・ベルトレ『ポール・ヴァレリー』(法政大学出版局、2008年)、エリック・ファーユ『長崎』(水声社、2013年)などがある。

【エリック・ファーユの本】
長崎 松田浩則訳 1800円+税
フクシマを越えて(仮題) 三野博司訳 近刊

 

8月の新刊:『アントナン・アルトー 自我の変容』

2014年 8月 21日

アルトー=カバー『アントナン・アルトー 自我の変容――〈思考の不可能性〉から〈詩への反抗〉へ』

熊木淳
A5判上製/368頁/定価=5000円+税
978-4-8010-0052-0 C0098 8月28日発売予定
装幀=宗利淳一

明晰なる狂気のストラテジー

テクスト/俳優、父/子、思考/言葉……〈前のもの〉による〈後のもの〉への支配を自身の〈病〉として引き受けたアントナン・アルトー。初期の書簡から演劇論、そして晩年の思考までをつらぬくものは、先立つ〈起源〉への徹底的な反抗であった。あらゆる系譜を逆転させる戦略的な視点から現代詩への影響を論じた最もアクチュアルなアルトー読解。

【目次】


第1部 診断と治療
第1章 診断
第2章 治療

第2部 残酷の変容
第1章 残酷なき演劇
第2章 残酷演劇
第3章 事後的残酷

第3部 詩への反抗
第1章 言葉への抗い
第2章 糞便詩
第3章 現代詩人としてのアルトー



【著者】
熊木淳(くまきあつし)  1975年、東京都に生まれる。リヨン高等師範学校博士課程修了。博士(フランス文学)。現在、早稲田大学ほか非常勤講師。専攻、フランス文学。主な論文に、「診断と治療――アントナン・アルトーとシュルレアリスムとの決別について」(『日本フランス語フランス文学会 関東支部論集』第21号、2012 所収)、« Deux séries d’images dans L’Art et la Mort »(Cahiers Artaud, n°1, Éditions les Cahiers, 2013)、« Bernard Heidsieck : de la poésie sonore à la poésie de la quotidienneté »(Thélème, vol.29, 2014)などがある。

 

8月の新刊:『アントロポゾフィー協会の進化について』

2014年 8月 21日

アントロ書影アントロポゾフィー協会の進化について

パウル・マッカイ/入間カイ訳
46判/167頁/定価2500円+税
ISBN978-4-8010-0054-4 C0014 好評発売中
装幀=齋藤久美子

アントロポゾフィー協会はどのように進化するのか? 33年の周期で発展してゆくその過程で発生する課題を示しつつ、時代の運命ときわめて深く結びついた、これからの協会のあり方を語る、ゲーテアヌム理事による講演集。

【目次】
まえがき(上松佑二)
秘教性と公共性——アントロポゾフィー協会の「明らかなる秘密」について
序/アントロポゾフィー協会の進化について/アントロポゾフィー協会の課題について/いかにすればクリスマス会議の基盤に立ちつつ、世界への架け橋を形成できるか?/付記
ミカエル共同体としてのアントロポゾフィー協会——礎石のことばにおける「私たち」について
序/I 個性化と現代の社会的要請/礎石のリズムと人間本質の構成要素/霊我の質的表現としての「私たち」/II カルマ連関における原則と例外/九世紀の出来事/四世紀の出来事/死の秘儀と悪の秘儀/第二の磔刑と復活/自由意志からの行為/カルマ真実の再生
付録 礎石のことば/定礎の言葉(上松佑二訳)/黒板に書かれた《リズム》

訳者あとがき

【著者】
パウル・マッカイ(Paul Mackay)  1946年香港生まれ。国際金融の分野で数年働いたあと、1996年より、普遍アントロポゾフィー協会理事、2000年より、ドルナッハのゲーテアヌム精神科学自由大学社会部門代表、2012年よりアーレスハイムのヴェレダ株式会社管理委員会会長。
【訳者】
入間カイ(いるまかい) 1963年、鎌倉市に生まれる。現在、那須内海学園那須みふじ幼稚園理事長・園長。一般社団法人日本シュタイナー幼児教育協会〔http://jaswece.org/〕代表理事。ゲーテアヌム医学セクション外部研究員。主な著・訳書に『三月うさぎのティータイム』(南方新社)、『これからのシュタイナー幼児教育』(春秋社)、『小児科診察室』(グレックラー/ゲーベル共著、水声社)などがある。

【シュタイナーの本】
輪廻転生とカルマ 西川隆範訳 2500円+税
人智学指導原則 西川隆範訳 2500円+税
霊視と霊聴 西川隆範訳 2000円+税
医学は霊学から何を得る事ができるか 中村正明訳 1500円+税

【入間カイの本】
シュタイナーが協会と自由大学に託したこと ルドルフ・シュタイナー 入間カイ訳 3500円+税
乳幼児のためのシュタイナー保育 バーナデット・ライチェル 入間カイ訳 2500円+税
シュタイナー教育基本指針Ⅰ ライナー・パツラフ、クラウディア・マッキーン他 入間カイ訳 2500円+税

 

8月の新刊:『シュタイナーが協会と自由大学に託したこと』

2014年 8月 21日

シュタイナーが協会と自由大学に託したこと_書影シュタイナーが協会と自由大学に託したこと
ルドルフ・シュタイナー/入間カイ訳
四六判上製/287頁/定価=3500円+税
978−4−8010−0055−1 C0014 好評発売中
装幀=齊藤久美子

 

〈もし世界を真に洞察したければ、汝自身の魂の深みをのぞきこむがよい。〉

1923年のいわゆる「クリスマス会議」でシュタイナーは、いままでのアントロポゾフィー協会を「普遍アントロポゾフィー協会」に発展させて再出発するにあたり、「私たちの課題は、考えられる限り深い秘教性と、もっとも広い公共性をひとつにつなぐこと」だ、と述べた。本書の第一部は、協会のあり方をめぐって、「協会員への手紙」と題して、ゲーテアヌムの「協会員のための通信」に毎週掲載されたものであり、第二部の「精神科学自由大学について」では、アントロポゾフィーそのものを深め、育成してゆくために、自由大学とそこへ入会しようとする人々にシュタイナーが託した思いが講演と文章によって語られている。また、本書に関連した「アントロポゾフィー指導原理」の1から78までをも収録した。

【目次】
第一部 協会員への手紙
1923年クリスマス会議による普遍アントロポゾフィー協会の形成/普遍アントロポゾフィー協会の理事会/アントロポゾフィー運動のあゆみと協会の課題/協会の、アントロポゾフィーに対する正しい関係/アントロポゾフィーにおける協会員の集い/会員の協会への関わり方/アントロポゾフィーの指導原理/認識への努力と自己教育への意志/協会内の活動/協会における活動/個々人によるアントロポゾフィーの真実の形成/アントロポゾフィーの真実の伝え方/アントロポゾフィーの「教え」について/支部の集いの形成について/人間の「形象」としての本性/支部の集いの中に存在すべき「気分」について/支部の集まりに必要な「気分」——追記/クリスマス会議の働きに関する追記/霊性の理解と運命の体験について/指導原理をいかに用いるか
第二部 精神科学自由大学について
アントロポゾフィー協会の有機的生成過程とその未来の課題/アントロポゾフィー協会の体制における精神科学自由大学、その各部門への文節化/自由大学第一学級への受け入れ条件/精神科学自由大学/精神科学自由大学青年部門について/プラハにおける一連のアントロポゾフィーの催しについて/シュトゥットガルトにおけるヴァルドルフ学校教育会議
付録 アントロポゾフィー指導原理
訳者あとがき

【著者】
ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner) 1861年、クラリエヴェック(現クロアチア領)に生まれ、1925年、ドルナッハ(スイス)に没した。ゲーテの自然科学研究、評論活動で知られ、ブラバツキーの神智学協会に参加、のちに独自の人智学(アントロポゾフィー)協会を設立し、神秘学のみならず、教育、建築、医学、農業などの分野にも大きな業績を残した。主な著書には、『自由の哲学』、『神智学』、『神秘学概論』(ともに筑摩書房、他)、『霊界の境域』、『医学は霊学から何を得ることができるか』(ともに水声社)などがある。
【訳者】
入間カイ(いるまかい) 1963年、鎌倉市に生まれる。現在、那須内海学園那須みふじ幼稚園理事長・園長。一般社団法人日本シュタイナー幼児教育協会〔http://jaswece.org/〕代表理事。ゲーテアヌム医学セクション外部研究員。主な著・訳書に『三月うさぎのティータイム』(南方新社)、『これからのシュタイナー幼児教育』(春秋社)、『小児科診察室』(グレックラー/ゲーベル共著、水声社)などがある。

【シュタイナーの本】
輪廻転生とカルマ 西川隆範訳 2500円+税
人智学指導原則 西川隆範訳 2500円+税
霊視と霊聴 西川隆範訳 2000円+税
医学は霊学から何を得る事ができるか 中村正明訳 1500円+税

【入間カイの本】
アントロポゾフィー協会の進化について パウル・マッカイ  2500円+税
乳幼児のためのシュタイナー保育 バーナデット・ライチェル 2500円+税
シュタイナー教育基本指針Ⅰ ライナー・パツラフ、クラウディア・マッキーン他 2500円+税

 

7月の新刊:『マンガを「見る」という体験』

2014年 8月 21日

カバー『マンガを「見る」という体験――フレーム、キャラクター、モダン・アート』

編者=鈴木雅雄
執筆者=伊藤剛/野田謙介/齊藤哲也/加治屋健司/中田健太郎
A5判並製/268頁/定価=2800円+税
978-4-8010-0051-3 C0095  好評発売中
装幀=宗利淳一

マンガの視覚文化論

コマ/フレーム、キャラクターを通して、われわれはどのようにマンガを眺めているのか。マンガ批評、文学研究、美術史を専門とする気鋭の論者たちが、マンガをめぐる時間・運動・言説の問題を自在に語り、新たな理論的枠組から視覚体験としての〈マンガ〉を問いなおす。

【目次】
第Ⅰ部 マンガの時間、絵画の時間
消える男/帰ってくる男――マンガから見た絵画・シュルレアリスム(伊藤剛)
瞬間は存在しない――マンガ的時間への問い(鈴木雅雄)

第Ⅱ部 マンガのコマ、絵画のフレーム
マンガにおけるフレームの複数性と同時性について――コマと時間をめぐる詩論(一)(野田謙介)
分裂するフレーム――シュルレアリスム〈と〉マンガ(齊藤哲也)

第Ⅲ部 マンガをめぐる言説、美術をめぐる言説
マンガと美術――現代美術批評の観点から(加治屋健司)
マンガ表現と絵画の境界をどう考えるか――フィギュ―ルという接点(中田健太郎)

第Ⅳ部 シュルレアリスムの視覚体験とマンガ
ロプロプが飛び立つ――動いてしまうイメージの歴史のために(鈴木雅雄)

【編者/執筆者】
鈴木雅雄(すずきまさお) 1962年、東京都生まれ。東京大学大学院地域文化研究科博士課程満期退学。現在、早稲田大学教授。専攻、シュルレアリスム研究。著書に、『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社、2007年)、『ゲラシム・ルカ――ノン=オイディプスの戦略』(水声社、2009年)、訳書に、バンジャマン・ペレ『サン=ジェルマン大通り一二五番地で』(風濤社、2013年)などがある。

伊藤剛(いとうごう) 1967年、愛知県生まれ。名古屋大学理学部卒業。現在、東京工芸大学准教授。マンガ批評家。著作に、『テヅカ・イズ・デッド』(NTT出版、2005年)、『マンガを読む。The Manga Reviews』(青土社、2008年)などがある。
野田謙介(のだけんすけ) 1977年、大阪府生まれ。京都大学総合人間学部卒業。マンガ研究者・翻訳者。雑誌『Pen』No.204の特集「世界のコミック大研究。」の企画・構成を手がける。訳書に、ティエリ・グルンステン『マンガのシステム――コマはなぜ物語になるのか』(青土社、2009年)、エマニュエル・ギベール『アランの戦争――アラン・イングラム・コープの回想録』(国書刊行会、2011年)などがある。
齊藤哲也(さいとうてつや) 1976年、北海道生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、明治学院大学准教授。専攻、シュルレアリスム研究。著書に、『零度のシュルレアリスム』(水声社、2011年)、『ヴォルフガング・パーレン――幻視する横断者』(水声社、2012年)などがある。
加治屋健司(かじやけんじ) 1971年、千葉県生まれ。ニューヨーク大学大学院美術研究所博士課程修了。現在、京都市立芸術大学芸術資源研究センター准教授。専攻、現代美術史・批評史。著書に、『中原佑介美術批評選集』(共編著、現代企画室+BankART出版、2011年〜)、訳書に、ボワ/クラウス『アンフォルム――無形なものの事典』(共訳、月曜社、2011年)などがある。
中田健太郎(なかたけんたろう) 1979年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。現在、日本大学非常勤講師。専攻、シュルレアリスム研究。マンガ批評家。著書に、『ジョルジュ・エナン――追放者の取り分』(水声社、2013年)、論文に、「理論の見る夢――オートマティスムの歴史」(『思想』、2012年第10号)などがある。

 

7月の新刊:《別冊水声通信》『バタイユとその友たち』

2014年 8月 21日

バタイユ書影別冊水声通信 バタイユとその友たち

A5判並製/419頁/定価=3000円+税
ISBN978-4-8010-0046-9  C0090
絶賛発売中!
 

反抗か、共謀か。

ソレルス、サルトル、ブルトン、ブランショ、ヴァール、クノー、レリス……同時代の思想家たちとバタイユとの知られざる関係を明らかにし、新たなバタイユ像に肉薄する! バタイユ「至高者」ほか、本邦初訳のテクストを多数収録。
 
【目次】

偉大なるバタイユ(インタビュー) フィリップ・ソレルス 杉浦順子訳
至高者 ジョルジュ・バタイユ 濱野耕一郎訳
ジョルジュ・バタイユとの対話 文学における悪と幼児性 ピエール・デュメイエ 岩野卓司訳
『文学と悪』を読んで ジャン・ヴァール 大島ゆい訳
ジャン・ヴァール『フランス哲学便覧』評 ジョルジュ・バタイユ 合田正人訳


1952年10月18日付のノート(ノート11、未発表断章) ジョルジュ・バタイユ 郷原佳以訳
アンリ・パストゥロー『人間の傷』評 ジョルジュ・バタイユ 鈴木雅雄訳
アンドレ・ブルトン『時計のなかのランプ』評 詩と世界の終末の誘惑 マルコム・ド・シャザル
と悦楽 ジョルジュ・バタイユ 鈴木雅雄訳
コーズ『開幕からの決裂』 ジョルジュ・バタイユ 有馬麻理亜訳
メルロ=ポンティへの公開書簡 ジョルジュ・バタイユ 澤田直訳


問われる共同体 ナンシーとブランショによるバタイユの共同体から出発して 岩野卓司
バタイユとブランショの分かちもったもの 「1952年10月18日付のノート」から出発して 郷原佳以
焼け残るものへの眼差し 1940年代のブランショはバタイユをいかに読んだか 門間広明
共鳴とすれ違い 「コントル=アタック」前後のブルトン、バタイユそしてライヒ 有馬麻理亜
ブルトンとバタイユにおける主体の位置 ジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン 齊藤藤哲也訳
バタイユとブルトン イメージと芸術の誕生をめぐるふたつの思考 長谷川晶子
自由と瞬間 バタイユの「分身」サルトル? 永野潤


ヘーゲルとの最初の格闘 レーモン・クノー 加藤美季子訳
アレクサンドル・コジェーヴとの対話 哲学者に関心はなく賢人を探し求めています ジル・ラプージ
ュ 加藤美季子・丸山真幸訳
バタイユに宛てた7通の手紙 アレクサンドル・コジェーヴ 丸山真幸訳
錯綜する友情 クノーによるバタイユ追悼文を読む 加藤美季子
コジェーヴの反革命思想とそのバタイユとの差異 丸山真幸


バタイユとサルトル カミュの「歴史に対する反抗」を巡って 伊藤直
実存の眩暈 バタイユのレヴィナス読解をめぐって 伊原木大祐
やさしき悲痛 レリス・バタイユ交流史における二人の女性の死から 大原宣久
バタイユとカミュにおける反抗、至高性、遊び=賭け 概念論的研究 レーモン・ゲ=クロズィエ
千々岩靖子訳 伊藤直解題
バタイユとユイスマンス 築山和也
アンドレ・マルローの美術論批判 ゴンブリッチ、バタイユ、ブランショ、メルロ=ポンティ 永井敦


【別冊水声通信】
坂部恵 2800円+税
ジュリアン・グラック 2500円+税
セクシュアリティ 2800円+税

【関連書】
水声通信30/ジョルジュ・バタイユ 2000円+税
水声通信34/『社会批評』のジョルジュ・バタイユ 2500円+税
バタイユと文学空間 福島勲 3000円+税
ジョルジュ・バタイユ 神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性 岩野卓司 4500円+税
ジョルジュ・バタイユの《不定形》の美学 江澤健一郎 4500円+税

 

7月の新刊:《水声文庫》『ナラトロジー入門』

2014年 8月 21日

ナラトロジー=カバーナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論

橋本陽介
四六判上製/244頁/定価2800円+税 好評発売中!
978−4−8010−0049−0 C0098
装幀=宗利淳一

 

プロップ,トドロフ,バルト,ジュネットは,どのように物語を分析したのか?

ロシア・フォルマリズムから、ヤコブソン、ソシュール、バンヴェニストの言語学を経由してナラトロジーに至るまでの系譜をたどりながら、バルトやジュネットなどの理論を体系的に考察する。文学研究の世界に多大な影響を与えつづける「ナラトロジー(物語論)」について,古今東西の文学作品を例にしながら平易に詳述した実践的な入門書。

【目次】

第一章 「物語の構造」とは――プロップからバルトまで
第二章 ナラトロジー誕生までの理論的背景
第三章 「作者」と「語り手」について
第四章 物語の「時間」
第五章 視点(焦点化)と語る声
第六章 日本語における焦点化の仕方とオーバーラップ
まとめ

【著者】
橋本陽介(はしもとようすけ) 1982年、埼玉県に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得。博士(文学)。専攻、中国語を中心とした文体論、比較詩学。現在、慶應義塾大学非常勤講師(中国語)。主な著書に、『7カ国語をモノにした人の勉強法』(祥伝社、2013)、『物語における時間と話法の比較詩学――中国語と日本語からのナラトロジー』(水声社、2014)などがある。

【関連書】
フィクションの修辞学 W・C・ブース/米本弘一・服部典之・渡辺克昭訳 7000円+税
昔話の形態学 ウラジーミル・プロップ/北岡誠司+福田美智代訳 5500円+税
小説と映画の修辞学 シーモア・チャトマン/田中秀人訳 5000円+税
物語のディスクール G・ジュネット/花輪光・和泉涼一訳 5000円+税
物語の詩学――続・物語のディスクール G・ジュネット/和泉涼一・青柳悦子訳 3000円+税
フィギュールⅢ G・ジュネット/花輪光監訳 3500円+税

 

7月の新刊:『リノット』

2014年 8月 21日

見本リノットジャケ
リノット――少女時代の日記 1914−1920

アナイス・ニン/杉崎和子訳
四六判上製/252頁/定価=2500円+税
978−4−8010−0048−3 C0098 好評発売中
装幀=齊藤久美子
〈神様、お願いします。……どうか作家にしてください。……処女作ではなく20冊目の本を書いている作家にしてください。〉

のちにヘンリー・ミラーらと愛の遍歴をかさね世界的に性愛の作家として知られることになる女性の11歳から17歳までの日記。離婚した父母への思い、多彩な読書歴、初恋、そして小説家になりたいという強い意志を繊細な観察眼と豊かな感性でいきいきと描く。

【著者】

アナイス・ニン(Anais Ninn) 1903年、パリに生まれ、1977年、ロスアンジェルスに没した。9歳のとき両親が離婚し、11歳で母、二人の弟とアメリカに渡り、日記を書き始める。その後ヘンリー・ミラーとの交遊を含む60年におよぶ膨大な日記の出版で注目を浴びる。おもな作品に『近親相姦の家』『インセスト』『ヘンリー&ジューン』『人工の冬』などがある。

【訳者】
杉崎和子(すぎさきかずこ) 横浜市に生まれる。ホイッティアー大学BA、MA、オクシデンタル大学Ph D。 カリフォルニア州立大学講師、桜美林大学・名城大学・岐阜聖徳学園大学の教授を歴任。岐阜聖徳学園大学名誉教授。アナイス・ニン・トラスト理事、ハンティントン図書館研究員。主な著書に、『カリフォルニアを目指せ―—幌馬車隊3200キロの旅』(彩流社)、主な訳書に、ニン『インセスト』(彩流社)、ニン『ヘンリー&ジューン』(角川書店)、ニン『リトル・バード』などがある。

【アナイス・ニンの本】
人工の冬 矢口裕子訳 2800円+税
ミノタウロスの誘惑 大野朝子訳 2500円+税

【関連書】
この世で一番幸せな男 M・V・ディアボーン 室岡博訳 4500円+税
回想するヘンリー・ミラー トウィンカ・スィーボード 本田康典+小林美智代+泉沢みゆき訳 2000円+税
ヘンリー・ミラー・コレクション 編集=飛田茂雄+本田康典+松田憲次郎
第1期 全10巻(完結)………セット定価 34100円+税
第2期 全6巻(刊行中)………⑪巻「母」3000円+税/⑭巻「友だちの本」4000円+税

 

7月の新刊:『モダニスト ミナ・ロイの月世界案内』

2014年 8月 21日

ミナジャケモダニスト ミナ・ロイの月世界案内——詩と芸術

フウの会編
執筆・翻訳=高田宣子、吉川佳代、大久保誠、カーラー国見晃子、松沢英子、柳田昌子、ヤリタミサコ、吉田実登里、ロジャー・L・コノヴァー、高島誠
A5判上製/387頁+別丁図版8頁/定価=4000円+税 好評発売中
978-4-8010-0042-1 C0093
装幀=齊藤久美子

〈女たちよ、もしも自己実現したいなら……中途半端は許されない―—伝統でできたゴミ山の表面をひっかく程度では、改革はありえません。完全な廃棄しかないのです。〉

19世紀末にロンドンで生まれ、十代後半からパリ、フィレンツェで画家、女優、デザイナーとして活躍し、その後、詩集『ジョアンズへのラヴソング』『ライオンたちの戯れごと』などを発表したミナ・ロイは、エズラ・パウンド、T・S・エリオットらの賛辞を浴び、またマルセル・デュシャンにも影響を与え、ブランクーシ、ジョセフ・コーネルらとも親交をふかめた。その詩、散文の翻訳アンソロジーと研究者たちの論考によって、ロイの芸術家としての全体像を読み解き、その多面性を浮き彫りにする本邦初の試み。

【目次】
詩篇
散文
論考 月世界の案内人、ミナ・ロイの生涯 吉川佳代/ミナ・ロイ―—世紀の詩人 ロジャー・L・コノヴァー/「ジョアンズへのラヴソング」——逸脱する恋愛ポリティックス 吉川佳代/ミナ・ロイと与謝野晶子とフェミニストたち ヤリタミサコ/隠れた美を照らし出す 松沢英子/モダンの光跡——表現の探求者に捧げる 高田宣子/ミナ・ロイ―—月とランプシェイドの詩人 高島誠
年譜/参考文献/図版一覧
解説
編者あとがき

【執筆者、訳者】
高田宣子(たかたのりこ)東京都に生まれる。シカゴ大学大学院人文研究科修了。専攻、英語圏の女性詩人。現在、明治学院大学ほか非常勤講師。主な著訳書に、『英米文学の地平 W・ワーズワスから日系アメリカ人作家まで』(共著、金星堂、2012)、シルヴィア・プラス『湖水を渡って シルヴィア・プラス詩集』(共訳、思潮社、2001)、ジョン・ソルト『北園克衛の詩と詩学—―意味のタペストリーを細断する』(共訳、思潮社、2010)などがある。
吉川佳代(よしかわかよ)東京都に生まれる。サザンコネティカット州立大学英語学科修士課程修了。文学博士(昭和女子大学)。専攻、現代英米詩。現在、サザンコネティカット州立大学ほか非常勤講師。主な訳書に、アルベルト・マングェル、ジアンニ・グアダルーピ、高橋康也監訳『完訳 世界文学にみる架空地名大事典』(共訳、講談社、2002)などがある。

【関連書】
カミングズの詩を遊ぶ ヤリタミサコ+向山守編訳 2000円+税

 

6月の新刊:『チュチュ 世紀末風俗奇譚』

2014年 7月 30日

見本tutu題箋チュチュ 世紀末風俗奇譚

プランセス・サッフォー

野呂康+安井亜希子訳

 

四六判並製函入/288頁/定価=3500円+税

978-4-8010-0007-0 C0097 好評頃発売中!

装幀=齋藤久美子

 

知られざる19世紀最大の奇書

世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公モーリ・ド・ノワロフが繰り広げる、キッチュで奇矯な行動の数々。奇想天外にして荒唐無稽な想像世界が現出する。エログロ、近親相姦、フリークス、腐猫の宴、糞尿譚、罵詈雑言がいたるところ鏤められた露悪趣味の極北。知られざる傑作、珍書中の珍書を本邦初紹介。

【著者】
プランセス・サッフォー(Princesse Sapho) 著者名も偽名と思われ、さまざまな説が存在する。詳細は不明。

【訳者】
野呂康(のろやすし) 1970年、東京都に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科仏文専攻博士課程単位取得退学。文学博士。現在、岡山大学言語教育センター准教授。主な著書に、『古典資料センター所蔵「マザリナード」の現在』(一橋大学社会科学古典資料センター、2010年)、主な訳書に、ガブリエル・ヴィットコップ『ネクロフィリア』(共訳、国書刊行会、2009年)、クリスチアン・ジュオー『マザリナード 言葉のフロンド』(共訳、水声社、2012年)などがある。

安井亜希子(やすいあきこ) 1974年、新潟県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科仏文専攻修士課程修了。フランス語産業翻訳者。主な訳書に、ガブリエル・ヴィットコップ『ネクロフィリア』(共訳、国書刊行会、2009年)、フランソワ=ベルナール・ユイグ『DNAと犯罪捜査――各国の現状とデータベースの発展』(白水社、2011年)がある。

 

6月の新刊:『アナーキストの大泥棒』

2014年 7月 30日

大泥棒=カバー入稿アナーキストの大泥棒――アレクサンドル・ジャコブの生涯

アラン・セルジャン

髙橋治男訳

四六判上製/392頁/定価=3200円+税

978-4-8010-0045-2 C0023 好評発売中!

装幀=宗利淳一

 

すべてを生産している人々には何もなく、何も生産しない奴らがすべてを所有している!

稀代の大泥棒にしてフランス最後のアナーキストの初のモノグラフ

 

見習い水夫として遠洋航路の舟に乗り込んだ少年時代……アナーキストとして私有財産と闘う非合法主義運動に参加した16歳……警官殺害の裁判で才気煥発の答弁を警官殺害の裁判で行い新聞を賑わせた一味の首領時代……南米ギアナの流刑地で過ごした23年間と何度となく試みる脱走劇……

波瀾万丈の冒険と流刑地での地獄を潜り抜けた稀代のアナーキスト、アレクサンドル・ジャコブの唯一の評伝。

 

【目次】
第1章 人物紹介/第2章 海からの呼び声/第3章 黒旗/第4章 非合法主義の見習い期間/第5章 夜の仕事師たち/第6章 逮捕/第7章 驚天動地の被告/第8章 流刑地/第9章 サリュー諸島/第10章 墓場での四年間/第11章 最も危険な男/第12章 ある友情/第13章 デーモン最後のいたずら/訳者あとがき

【著者】
アラン・セルジャン(Alain Sergent) 本名はアンドレ・マエ。1908年、パリに生まれ、1982年にパリの精神病院で没する。小学校卒業後すぐに働き始め、人民戦線期に共産党に入党したが、やがてガストン・ベルジュリの《社会戦線》に参加。ドイツの占領開始とともにドリオのPPFに入党。さらにジョルジュ・スーレスの片腕となって極右の《社会革命行動党》の活動を支えた。解放後に投獄されたが、占領下でレジスタンス派を助けたこともあってか、半年で釈放され、セルジャンのペンネームで作家活動を開始し、自伝的小説二点、『パンと遊び』、『私はその不良青年のあとを追った』の他、『アナーキーの歴史』や『アナーキストたち』を書き、アナーキズム運動の歴史家として優れた業績を残している。

【訳者】
髙橋治男(たかはしはるお) 1936年、千葉県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。中央大学法学部教授を経て、現在は同名誉教授。専攻、フランス文学、思想。共著に『希望と幻滅の軌跡』(中央大学人文科学研究所、1987年)、主な訳書にT・B・ジェルーン『歓迎されない人々――フランスのアラブ人』(晶文社、1994年)、ミシェル・ラゴン『フランス・プロレタリア文学史――民衆表現の文学』(水声社、2011年)などがある。

 

6月の新刊:『レメディオス・バロ』

2014年 7月 30日

レメディオス・バロ
レメディオス・バロ――絵画のエクリチュール・フェミニン

カトリーヌ・ガルシア

湯原かの子訳

A5判上製/272頁/定価=4000円+税

978-4-8010-0044-5 C0070 好評発売中

装幀=宗利淳一


私たちが生命と呼ぶものは非現実であり、死と呼ぶものも非現実であり、ただ織布・画布(トワル)だけが現実なのだ。――オクタビオ・パス

人間として、芸術家として、女性であるということの根源的問いを発しつづけた画家レメディオス・バロ。シュルレアリスムの実験的手法、秘教思想に学びつつ、死と再生、人間と世界の宇宙的循環を、画布の上で自由に織りなす独創的な幻想世界を、女性性による創造の秘密から探究する。
「バロはいくつかの作品で、編物をする女性を入れ子構造にし、自分自身の創作行為を描いている。作品制作は、たえず織り直される織物に似て、進展、啓示、閃きがあるが、後戻り、反復、停滞もある。人間と世界のイマージュが決定的に定義されることはなく、つねに刷新されうるのである。」(本文より)

【目次】
第一章 レメディオス・バロとその研究方法
1 マージナルな絵画
2 伝記的要因――バロはシュルレアリストか?
  アカデミックな美術教育 一九〇八―一九二四
  シュルレアリスムへの傾倒 一九二四―一九三一
  前衛芸術家との接触――実験的初期作品 一九三一―一九四〇
  メキシコ亡命とその影響 一九四〇―一九四七
  円熟する創作活動――独創的な作品 一九四七―一九六三
3 ハイブリッドな絵画
4 人物、フォルム、女性の地位――自己探求か?
5 神話的人物像――新しい空間の探求か?

第二章 アポリア
1 抑圧的な運命、耐え忍ぶべき社会的役割 『予感』『塔の方へ』『ご婦人方の幸福』『オーロラ』
2 取るに足らない知識 『突然変異した地質学者の発見』『反抗的な植物』
3 他者の存在の脅威 『曲がりくねった道』『恋人たち』
4 自己観察の虚しさ 『出会い』『模倣』
5 アポリアの人物像

第三章 新たな地平へ
1 神話的時間と地理的空間の探検 『枯葉』『オリノコ河の水源の探検』『不毛の道』
2 キリスト教神話の探求 『邂逅』『奇術師または軽業師』
3 人間の運命の再検討 『天体の狩人』
4 女性の役割の探求 『地球のマントに刺繍しながら』『ミノタウロス』『笛を吹く人』『星光線による創造』『赤い編物をする女』
5 新たな地平を開く人物像

第四章 均衡
1 運命を支配する 『星粥』『宇宙の中心』
2 見いだされたアイデンティティ 『出逢い』『座った女』
3 糸を紡ぐ女のイマージュ 『ヴェロナの編物をする女』『織物をする女』
4 存在の充実、創造的次元 『鳥の創造』
5 均衡のとれた人物像

第五章 独創性
1 独自な空間の構築
1―1 空間の探求
    所与された空間
    選択された空間
    夢想された空間
1―2 独自な空間
    マチエールの効果
    パースペクティヴ
    変容した空間
2 構築、脱構築――地面
  滑らかな地面、固い地面
  変幻自在な地面
  変容した地面
3 光と影
  「なにも見ていない」
  光溢れる宇宙の夜
  影
4 女性人物の表象――身体の夢想
  特徴のない身体
  束縛された身体
  身体の夢想
  気化した身体――表現不可能か?
  他者を宿す身体
5 存在の生地――変容する衣服
  お仕着せの衣服
  衣服、批評の対象
  変容する衣服
  入れ子構造の衣服

結論 バロにおけるエクリチュール・フェミニン

図版一覧

レオメディオス・バロ略歴

参考文献

訳者解説


【著者】
カトリーヌ・ガルシア(Catherine Garcia) パリ第八大学でスペイン文学、スペイン絵画を学び、とくに女性表現者による創作について研究する。スペイン語・スペイン文学のアグレジェ(教授資格保有者)として、現在パリで教鞭をとる。本書は著者初の単著にして、フランス語によるバロに関する最初の本格的なモノグラフィである。
 
【訳者】
湯原かの子(ゆはらかのこ) 上智大学仏文科卒。九州大学大学院、上智大学大学院を経てパリ第四大学文学博士号取得。フランス文学・比較文学専攻。上智大学他非常勤講師。評伝作家。主な著書に、カミーユ・クローデル――極限の愛を生きて』(朝日新聞社、1988)、『ゴーギャン――芸術・楽園・イヴ』(講談社、1995)、『絵のなかの生』(ミネルヴァ書房、2003)、『藤田嗣治――パリからの恋文』(新潮社、2006)、主な訳書に、テレーズ・ムールヴァ『その女(ひと)の名はロジィ――ポール・クローデルの情熱と受苦』(原書房、二〇一一)、クレール・ド・デュラス夫人『ウーリカーーある黒人娘の恋』(水声社、二〇一三)などがある。
 
【関連書】
齊藤哲也『ヴォルフガング・パーレン 幻視する横断者』〈シュルレアリスムの25時〉 3500円+税
齊藤哲也『ヴィクトル・ブローネル 燦光するイメージ』〈シュルレアリスムの25時〉 3500円+税
谷口亜沙子『ジョゼフ・シマ 無音の光』〈シュルレアリスムの25時〉 3200円+税

【湯原かの子の本】
ウーリカ――ある黒人娘の恋 クレール・ド・デュラス夫人 1500円+税

 

6月の新刊:『ホロコーストを逃れて』

2014年 7月 30日

ホロジャケ入稿ホロコーストを逃れて――ウクライナのレジスタンス

ジェニー・ウィテリック

池田年穂訳

46判上製/224頁/定価2500円+税

978−4−8010−0043−8 C0022 6月25日頃発売予定

装幀=齋藤久美子

 

ウクライナのソルカには第二次大戦前、6000人のユダヤ人がいたが、生き延びたのはたった30人。ナチのポーランド侵攻、ユダヤ人迫害に抵抗しユダヤ人家族、脱走した若いドイツ兵をも匿った母と娘。ナチをあざむく母の知恵と武力に頼らぬ闘いの日常とそれぞれの家族の絆の物語。
【目次】
第1部 ヘレナ/第2部 ブロネック/第3部 ミコワイ/第4部 ヴィルハイム/第5部 再びヘレナ/エピローグ/訳者あとがき
【著者】
ジェニー・ウィテリック(Jenny Witterick) 1961年、台湾に生まれる。ウェスタン・オンタリオ大学卒業後、リチャード・アイヴィー・スクール・オブ・ビジネスを修了。本書がデビュー作にして各国語に翻訳されベストセラーとなっている。

【訳者】
池田年穂(いけだとしほ) 1950年、横浜市に生まれる。慶應義塾大学文学部史学科卒業、同大学院修士課程終了。現在、慶應義塾大学教授。専攻、移民論、アメリカ社会史。訳書に『ユダヤ人を救え』『日系人を救った政治家ラルフ・カー』などがあり、『生寡婦』の翻訳でカナダ首相出版賞受賞。

【池田年穂の本】
日系人を救った政治家ラルフ・カー ――信念のコロラド州知事 アダム・シュレイガー 4500円+税
ユダヤ人を救え!――デンマークからスウェーデンへ エミー・E・ワーナー 2800円+税
奴隷制を生きた男たち ジェームズ・ウォルヴィン 3500円+税
石が叫ぶだろう――アメリカに渡った日本人牧師の自伝 シゲオ・シマダ 3500円+税