12月の新刊:モンタージュ小説論——文学的モンタージュと機能と様態《記号学的実践叢書》
2019年 12月 12日
モンタージュ小説論
文学的モンタージュの機能と様態
《記号学的実践叢書》
小柏裕俊(著)
判型:A5判上製
頁数:244頁
定価:3200円+税
ISBN:978-4-8010-00460-3 C0098
装幀:中山銀士
12月下旬頃発売!
ある小説を前にすると、読んでいるというよりも組み立てているという感覚をもつ。例えば、二つのストーリーラインのこちらからあちらへ、あちらからこちらへと往復しながら展開する小説がそうである。数多くの人物がさまざまな場所で行動を起こし、それらをつなぎ合わせなければ、全体像を捉えられない小説がそうである。時間の順序や隔たりを無化するかのように、記憶の断片が次から次へと現れる小説がそうである。あちこちにはめ込まれた引用の出典をたどり直しながら読む小説がそうである。辞書の体裁を借りた小説、脚注の中で新たな物語が始まってしまう小説などもそうである。(…)このような「組み立て」が求められる小説を、モンタージュ小説と呼びたい。(本文より)
「意識の流れ」「コラージュ」「ポリフォニー」など、読書行為が「組み立て」となる小説が数多く生み出されてきた。
本書はこうした小説を「モンタージュ」という概念から捉え直し、制作手法からばかりではなく、「縞模様」と「紐づけ」をキーワードに作品受容の観点から制作/読解の手法を実践的に検討することで、分析装置としての「モンタージュ」を鮮やかに提示する。
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